中央カロリン諸島のウィンド・コンパスとストーム・スター

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 印東道子編『ミクロネシアを知るための58章』(明石書店、2005年)より。

 これらを作成したのは秋道智彌さん。1970年代後半から80年代前半にかけて、サタワル島で伝統的航海術の調査をされた文化人類学者です。実はサタワル島の伝統的航海術研究に関しては、私の知る限り日本人研究者が一番沢山論文を書いているんですよ。

須藤健一「カヌーと航海にまつわる民話 ミクロネシアSatawal島の伝統的航海術の外延」『国立民族学博物館研究報告』6巻4号

秋道智彌「サタワル島における伝統的航海術の研究 ─島嶼間の方位関係と海域名称─」
須藤健一「カヌーをめぐる社会関係―ミクロネシア,サタワル島の社会人類学的調査報告―」

以上、『国立民族学博物館研究報告』9巻4号

秋道智彌「サタワル島における伝統的航海術の研究 ー洋上における位置確認方法とエタックについてー」『国立民族学博物館研究報告』10巻4号

 ただ惜しむらくは、その全部が日本語の論文だったということ。私たち日本語話者にとっては有り難い話ですが、カロリン諸島の人々には・・・・読めやしない!! う~む。この研究成果を世界の研究者の間で共有することも出来ない。う~~~む。

 私も論文は日本語で書くので、あまり他人のことは言えないのですが、私の場合は日本国内の社会集団が対象の研究なので、その方たちにまず読んでいただくとなると、日本語で書くのがベストかなという判断もあります。こういう、日本語で出た貴重な研究成果を英語に翻訳して世界に発信するようなシステムもあると良いんですが、そういう仕事にはお金が全く回らない国ですからねえ。なかなか。

 実はこの図表を、ミミ・ジョージ姐さんに送って「これ、見たことある?」と聞いてみたんですが、全然知らなかったそうで、大層驚いていました。特にミクロネシアとポリネシアのウィンド・コンパスの比較はミミ姐の直接のテーマですからね(今頃はタウマコで航海カヌーに乗っているはずですが)。今度、上記の秋道さんの論文をコピーして送ってあげることになっていますが、多分、必要箇所は私がボランティアで英訳してあげることになりそうです。

 こういうとこは、持ちつ持たれつですね。