1990年代前半にNHKが制作したドキュメンタリー「星の詩が聞こえる : サタワル島の航海士たち」を見ました。90分というボリュームたっぷりの内容で、これまで色々見た中でも最も充実した内容の映像作品でしたね。
主人公は故ルイス・レッパン師です。まだお元気な頃ですね。非常に日本語が達者な方なので、インタビューは全て日本語で行われていました。
ドキュメンタリーはレッパン師のお兄様、レパングラグ師が亡くなる数日前から始まります。レパングラップ師危篤の情報を無線で伝えられたレッパン師は急いでサタワル島に向かうのですが、何と頼みのマイクロスピリット号が遅れているのです。座礁した日本のマグロ漁船救出に時間を食われていたとか。ようやくマイクロスピリット号に乗り込んだレッパン師は、船長に直談判してサタワル島に直行してもらうのです。そんなことあるのかと思ったんですが、レパングラグ師やレッパン師と言えばミクロネシアの航海カヌー文化復興運動の立役者ですからね。驚くべきことにマイクロスピリット号は途中の島を全部すっ飛ばしてサタワル島に急行します。しかしついにレッパン師はレパングラップ師の死に目には間に合いませんでした。
というわけで、何とあの偉大なる航海者、レパングラグ師の葬儀の様子をこのドキュメンタリーは記録しているのです。レパングラグ師の亡骸まではっきり映っているぞ・・・・良いのか、これ? レパングラグ師のご遺族にはビデオを届けておいた方が良いと思いますが・・・・届いてるのかな。
さらに番組はサタワル島の生活、カヌー建造の様子、ウェスト・ファユ島への航海をじっくりと描写していくのですが、たまげたことにレッパン師の「星の歌」が翻訳字幕付きで長々と流れるんですよ。ウェスト・ファユ行きの「星の歌」は多分フルコーラス。もちろんそれだけ憶えたって航法が出来るわきゃ無いんですが、それにしてもケネス・ブラウワーの『サタワル島へ、星の歌』ではついに聞かせてもらえなかった奥義中の奥義(として描写されている)「星の歌」ですよ。こんな安直にフルコーラス聞けてしまって良いのか。
なんというか、とんでも無いもの持ってますなNHK。アーカイブ有料ダウンロードサービス始めたら受信料なんか半額に出来るんちゃうか?