命名「マイス」号

 カワイハエで建造中のマウ老師のカヌーの名前が決まりました。Office for Hawaiian Affairsの機関紙によれば、新しい航海カヌーの名前は「マイスMaisu」号。

 「マイス」とは、サタワルの言葉で「強風で落とされたパンの実」という意味だそうです。

 ポイントは「強風で落とされた」というところ。

 サタワルではパンの木は航海カヌーの船体にも使用される極めて重要な森林資源なので、木の一本一本に所有者がいます。もちろん成っている実も所有者のもの。しかし風などで実が落ちると、それは誰のものでもなくなります。だから欲しい人が食べて良い。こういった所有権のありようはわりと一般的でして、海南島の先住民とか日本の山村でも、似たような事例の報告があったと思います。

 マウ老師によれば、新しいカヌーもまた、誰でも必要な人が航海術の勉強の為に使えるものにするのだとか。風で落ちたパンの実と同じように。

 良い名前ですね。

 ところで非常に笑えたのですが、Office for Hawaiian Affairsの機関紙の記者の質問「何故、ハワイ式のカヌーなのですか?」に答えたマウ老師「だってこっちの方が船足は速いし水も食料も沢山積める。俺はこっちの方が好きなんだ」。

 マウ老師のざっくばらんな人となりを良く示しているエピソードです。

 マイス号は将来はヤップ島を根拠地として、伝統航海術の教練に用いられるとのことです。先生はマウ老師の後継者のセサリオさん。ミクロネシア式の伝統航海術を学びたいなら、ここですよ。