マニー・シカウ師とローレンス・カニンガム先生の講演会が下関の水産大学校と大阪の「なにわの海の時空館」でもあるそうです。昨日の海洋大と今日の国立天文台をハシゴした方の話では、内容はほぼ同じだったそうなので、きっと下関と大阪でもそうでしょう。
講演のノリは先日までジャパン・ツアーをしていたハワイの方々とは相当違います。何だろうなあ、肩の力が抜けているというのか、割と淡々と活動している感じですね。まあ何と言っても先日のホクレア日本航海は、彼らにとっても私たちにとっても歴史的な大航海だったわけで、それこそ何十年に一度のお祭りの高揚感があったと思いますから、それと較べるのも筋違いなのですが。
シカウ師による航法術の説明も非常に実務的です。パソコンのプラネタリウムソフトの画面をプロジェクターで投影して、レーザー・ポインターで「この星とこの星がこうなったら嵐になります。逆にこうなったら好天です。」「カロリンでは南十字星はモンガラカワハギ座と呼ばれます。私たちのスター・コンパスでは真南を含む南端の5方位をモンガラカワハギ座で算出します。水平線にモンガラカワハギ座が寝ている状態、45度になっている状態、正立している状態の5つです。」「etakというのはカーナビのようなものです。カヌーではなく周囲の風景がスクロールするのです。」「プコフ(海域の生物相)の中でも重要なのは鳥です。黒アジサシが一番重要なプコフです。白アジサシやシラオネッタイチョウも使います。カツオドリは島に帰らないことがあるので、あまり当てにしてはいけません。」・・・・・
そう、平和とか文化交流の話は全く無しなんです。TSSのお二人は。ですが、出来ればホクレアをきっかけとして航海カヌーの世界を知った方々にも聞きに行って欲しいなあ。というのもですね、航海カヌーや伝統的航法術の世界って本来そういう実務的なものだと思うんですよ。壮大な浪漫とかあんまし関係無い。ハワイアンの航法師が品種改良を重ねて色も形も匂いも派手になった園芸種の花だとすると、カロリニアンの航法師は野に咲く原種の花。地味。ですが、そこをも知っておいた方がより広い視野で航海カヌーの世界を見られます。航海カヌーの世界をより深く知ろうとしたら絶対に避けて通れない。
ただちょっと残念だったのは、通訳をされたのが小野林太郎(国立民族学博物館)さんや後藤明先生だったんですけど、お二人ともミクロネシアの航法術や航海カヌーの世界は本来のご専門ではないので、とっさに訳しきれなかった部分も無いとは言えなかったことですね。例えば小林さんはカニンガム先生がチャド・パイション船長の話をされた時に詰まってしまったし(カニンガム先生はチャド・パイション船長がこの場では有名人だと思って話してましたけど)、後藤先生もプコフの話で出てきた鳥の和名は思いつかなかった。いや、予習したプロ以外はそんなもの訳せなくても全く恥ではないですけども・・・・
ですので、録音出来る機材を持っていって後から聞き直すという手も考慮すべきかもしれません。
■水産大学校海洋文化セミナー
日 時 : 平成19年7月14日(土) 14:00-17:00
場 所 : 独立行政法人水産大学校 国際交流会館2階 大研修室 (来聴自由)
水産大学校アクセス
http://www.fish-u.ac.jp/daigaku/access/access.html
■大阪「なにわの海の時空館」にてセミナー
7月22日 13:00-14:30