行ってきましたよ国立天文台。まだ雨が残っていたので車で。
意外や意外、会場となった会議室は立ち見まで出る大盛況でした。最初に話をされたのはグアム大のカニンガム准教授(assistant professorの訳語が今年の4月から助教授ではなく准教授になったんです)。カニンガム准教授はグアムの伝統的遠洋航海協会(Traditional Seafaring Society)の歴史を話して下さいました。
グアム大というとマニー・シカウ師が指導を始める以前にセレスティーノ・エムワル師が航海術の指導をしておられたわけですが、今日の話でもちゃんと写真入りで紹介されてました。
さて、TSSが結成されたのが1999年。その活動を順を追っていうと、まずグアム島でカヌーハウスを建造し、続いてプルワット島まで行って航海カヌー「クエスト」「マイサ」を受領。そしてグアム回航となります。「クエスト」を建造されたのはシカウ師のお父様だそうです。それで私は知らなかったんですが、TSSの船はクエストだけじゃなかったんすね。最初から2艘あって、大きい方(8人乗り)がクエスト、小さい方(3人乗り)がマイサだそうです。
プルワット島からはピック島経由でグアム島まで1週間。ピック島というのは面積1キロ平米の無人島で、ちょうどプルワット島とグアムの中間にあるんだそうです。
グアム島では主にグアム大の学生たちにこれらの航海カヌーでカロリン諸島の伝統的航海術を教えているそうですが、300人ほどグアムに居るプルワット人のコミュニティの協力が非常に大きいのだと言ってました。
今後のTSSの活動としては来年にアメリカン・サモアで開催される太平洋芸術祭(1990年代以降はオセアニアと東南アジア全域から伝統的カヌーが集結する大イベントです)参加と、かつてチャモロ人が使っていた大型の航海カヌー(ヨーロッパ人が描いたスケッチが残っていて見せてもらったのですが、カロリニアンの航海カヌーよりでかいような気がしました)復元を目指しているそうです。
シカウ師はカロリン諸島の航法術のさわりの紹介。基本的には各種文献や論文で読んでいた話なので私個人はあまり目新しい話も無いなと聞いていたんですが、エタクの説明のところでタウマコ島のテヴァケ師の名前が出てきて驚愕しました。タウマコ島ってのはミクロネシアじゃなくて域外ポリネシアですよ。思わず質問してしまいましたよ私。
「先ほど域外ポリネシアの航法師による航法をエタクの例に出しておられましたが、シカウ先生としてはあれはミクロネシアのエタクと同じものと思われるのですか?」
「概ね同じだと思っています。」
※言っておきますがこれは講演会中に行われた公開質疑です。ただし実際のやりとりは英語で行われました。
うむむむむ。やはりミクロネシアの航海術と本来のポリネシアの航海術って近いのかも。