次に書く長編『湖賊』の書影を公開しました

いつも拙作をお読みいただき、ありがとうございます。

2020年は元旦から大晦日まで毎日2000字更新! を目指して引き続きがんばります。

今日は次に書く長編『湖賊』の書影を公開しました。

『湖賊』は時系列的には『ナナカマドの娘』と『竜が居ない国』の、ちょうど間あたりに入る作品です。

兵站貴族』後半に登場して『西の天蓋』の冒頭で戦死してしまった傭兵スピルキの遺児、ファイスがいよいよ傭兵見習いとして、「大人の世界」へと出ていく物語です。

舞台となるのは連合王国南部(南半球なので南に行けば行くほど涼しくなります)の巨大湖。

南北がおよそ250km、東西がおよそ100kmの細長い湖です。内燃機関が無い時代なので、足の早い船でも南北を縦断するには50-60時間かかります。

面積は25000平方キロくらいあります。

アメリカ合衆国にあるエリー湖くらいの大きさですね。

国で言うとイスラエルの面積より大きく、ルワンダと同じくらい。

 

はい、わかりやすいですね。ヴィクトリア湖(68870平方キロ)やタンガニーカ湖(32600平方キロ)よりは小さいですが、物語の舞台として考えると十分にでかいです。これ以上でかく設定すると、物語の密度が下っちゃうんですよ。キャラの移動に時間やカネがかかっちゃうので、そのコストを誰がどうやって負担するんだとか、色々考えないといけなくなる。

緯度は大ヤムスクロ湖の北端が南緯35度、南端が37度くらいです。日本列島だと私の故郷である愛知県刈谷市から、猪苗代湖くらいの間。

気候は温暖湿潤気候で、古代から農業と水上交通を利用した交易で栄えました。作中に登場する「帝国」と呼ばれた古代文明の発祥の地でもあります。周辺地域には古い町が数多く点在しています。

『ナナカマドの娘』の第2エピソードに登場した南極星信仰の盛んな地域としても知られますが、これは大ヤムスクロ湖の水上交通において南極星を目印とした天測航法が盛んに用いられたためです。まっすぐ縦断するのに2晩は湖上での夜間航行が必要なので、南極の直上にある星は非常にありがたかったわけです。

昼間なら近くの陸地の地形を見ながらの地乗りでいけるのですが、夜は地形が見えませんからね。沖乗りでスター・ナビゲーションをする方が合理的でした。

あらすじはこんな感じ

「連合王国の南西部に広がる巨大な湖「大ヤムスクロ湖」は、湖上で3ヶ国の国境が交わっていることから、長年、国境紛争が絶えない場所でもある。

帝国暦1556年。

大ヤムスクロ湖中部水域では、湖賊と呼ばれる盗賊団の活動が激化していた。背後には、大ヤムスクロ湖周辺の水上交易網の覇権を伺うバツェ王国の姿が見え隠れしているが、決定的な証拠が無いため、効果的な対策が取られないままとなっていた。

この湖賊問題をアルソウム、エマオ、バツェの3ヶ国で話し合うため湖畔の町、ウアラプエに派遣された連合王国特使の一行の中には、随従武官ガイリオル卿こと傭兵イェビ=ジェミ、そして傭兵見習いファイスの姿があった。

だが、一向に進展を見せない外交交渉に業を煮やした連合王国特使ウィルナ卿は、イェビ=ジェミとファイスに密命を与えて南へと向かわせる。二人が目指すのは古代から家船の上で暮らす少数民族、ウランゲリ族の幻の水上集落だった」

連合王国特使のウィルナ卿という人は、連合王国の南東部クンビア大公国の中にある「タンボラ親王領」という、ちょっと特殊な土地の関係者です。『ナナカマドの娘』の最終エピソードに出てきて、あっと驚く行動に出るんですが、その辺はもうネタバレ直結設定の塊なので、どうか『ナナカマドの娘』の更新をお待ちください。

『湖賊』本編は9/4より連載開始予定です。

引き続きよろしくお願いいたします。