ファザーズバッグagnate開発のきっかけ

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育児をしてみてわかったこと

私は大学で講師をやりながら、それ以外の平日は毎日息子の育児をしていました。朝一番に起きて朝食を作り、洗濯をし、息子に食べさせ、散歩に連れ出し、おやつを食べさせ、買い物をし、昼食を作って食べさせ、昼寝させ、夕食を作って食べさせる。週に4日、あるいは(講義日の数によっては)3日。

そうしてみると、日本の街がいかに育児のことを考えずに設計されているのかがよくわかります。何しろ歩道をびゅんびゅん自転車が走るので、1歳児を歩かせるなど不可能です(当たれば即死です)。道には吸い殻やゴミが散乱しており(だから毎日拾ってました)、公園には段差や階段があってベビーカーが通れない。(これらの気づきは学会誌『多摩ニュータウン研究』12号に研究ノート「多摩ニュータウン向陽台地区の育児空間の現象学的分析」として発表しました。)

物理的バリアー以外にも、問題はありました。地域の育児センターにはママさんしか居ないので、話が合わないとか、30代の男性が持ち歩くにはあまりにラブリー過ぎる育児グッズの外見とか・・・。

 

まともなファザーズバッグが無い!!

中でも私がどうにかならんのかと思ったのが、育児に使うバッグです。男性用のバッグは真っ黒なビジネスバッグの他、メッセンジャーバッグやバック パックがありますが、そのどれもが非常に使いにくいわけです。

外出中の乳幼児からは一瞬たりとも目が離せませんが、そもそもメッセンジャーバッグにしろ バックパックにしろ、手探りでの操作を想定した設計になっていません。また、ベビーマグやお尻拭きパックなど、育児に必須のグッズがうまいこと収まるスペースもありません。

リュックは動きやすいんだけれど、いざ中身を出そうとすると子供を下ろして完全に子供から目が離れる(リュックの中を覗き込む)時間が発生します。

あぶないです。

私自身、色々なバッグを試してみたのですが、結局これというものが見つからないまま息子は幼稚園に入り、小学生になりました。世の中にはファザーズバッグやイクメンバッグを名乗って売られているものも色々ありますが、いずれも私から見ると全く不完全で使い物にならないバッグでした(トート型は片手が塞がるから根本的に失格ですし、メッセンジャー型はフラップ開閉操作が面倒でやはり失格です)。

「じゃあもう、自分で作っちゃえ!」

こうしてプロジェクトは動き始めました。

続編「ファザーズバッグagnate開発のあゆみ」

 

《備考》

私が育児で使ったバッグたち

1) 学生の頃に池袋東急ハンズで買ったナイロンのメッセンジャータイプ

色はカラフルで好きだったのですが、ストラップ取り付け部分の剛性がヘナヘナだし、容量も小さいのでデジタル一眼レフカメラを入れるとパンパンになりました。自立もしなかったので、児童館では使いづらかった。ベビーマグの収納にも困りました。そして半年ちょっとですり切れてお釈迦になりました。普通のナイロンバッグは毎日育児に使ったら1年持たないです。

2) LOGOSの赤いメッセンジャータイプ

ポリエステル製で5000円弱でしたかね。上記のものより容量は増えましたが、それ以外のメリット無く、1年弱で穴が空いてサヨウナラ。二つ続けて1年持たずに穴が空いたことで、本気の育児バッグの生地は半端な安物ではダメだとわかりました(弊社agnateはCorduraをおごってます)。ストラップのテープも幅が狭い安物で肩に食い込んで痛かったので、即座に改造して別のものを付けましたが、ストラップ取り付け部分の弱さはどうしようもなかったです。

3) Deuter Transalpine25

バックパックの名品。さすがの耐久性でいまだに使っています。素直に言って私、ドイターの大ファンです。でも違う用途のために設計されているので、「中身が出しづらい」「自立しない」「重い」「操作性悪い」など諸々のデメリットがありました。

4) 大型のトートバッグ

L.L.Beanのボートアンドトートみたいな大型の幅広トートも使ってみましたが、バッグの中で全ての荷物がカオスになります。シルエットがスマートだからか、最近は縦長の深いトートも流行ってますが、あれは更にダメですね。バッグの底の方に沈んだ荷物を発見するのに下手すると中身全部出すハメになります。しかも自立しません。あらゆる意味で使い物になりません。

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