お姫様、旧型機材で戦うエース、そして2児の母。

ハーゲンスベルマン・スーパーミントという女子ロードレースのプロチームに所属する33歳、2児の母でもあるプロライダーによる、ジロ・ローザの回想

落車や体調不良、子どもたちに会いたくなる気持ちと戦いながらエースをサポートして第6ステージまで走り、ついにこれ以上走れなくなってリタイヤするところなど、読んでいても辛いのですが。

リタイヤした日の夜に彼女が考えたのは、チームのエースライダーのこと。現役のウクライナチャンピオンだけれども機材はまだ10速(現在は11速が普通)で、シューズも7年も同じものを使っていて、破れかけている。

お姐さま方、そこまでしてその生活を続けるものかと思うのですが、何でしょうかねえ、だからこそなのか、人として磨かれているようにも感じます。気品が文章から立ち上ってきます。

Here’s an example. One of my European teammates just came hot off a national championship title in the Ukraine, and she hasn’t received a new pair of cycling shoes in 7 years. Her cycling shoes are literally falling apart. Her bike is terribly outdated, 10 speed, and it’s heavy. She was the best GC rider on our team. She has a mind of steel and very thick skin, but underneath, a very soft heart. She doesn’t have the option to get a part-time job to financially support herself and buy those things – it’s different there. You’re either all in for cycling, or you're out. And being all in means scraping by with nothing and living day by day.


このチーム、たしか当時は全日本チャンピオンもメンバーだったように記憶していますが、チャンピオンの機材が足りないとなったら日本から日本人メカニック付きで(!)現地に届けてくれるお大尽がいたのは、とんでもなく凄いことだったんだなと今更ながらに思いました。

同じチームに最新鋭の電動パーツと最高級ホイールで武装した超軽量フレームを駆る、「爺や」付きのお姫様ライダーと、旧型の機材で戦うエースと、2児の母親業をこなしながら走るライダーと。

残酷ですね。女子ロードレースの世界は。