メカデザイナーズサミットで大河原先生と河森正治さんの対談を聞いて学ぶこと

今日は第3回稲城市メカデザイナーズサミット。

去年に続き立教大理学部のベリーベリーチャーミングな毒舌才女(私から写真文化論でS評価をもぎ取った強者でもある)と二人で行って参りました。

今年は大河原先生と「超時空要塞マクロス」シリーズの河森正治さんのサシでの対決2時間勝負ですが、さすが河森さんも巨匠ですからね。面白かった。去年より面白かった。

去年との違いは、大河原先生も河森さんもアニメ業界を超えた視野を持っておられるということでしょうね。例えば架空メカデザイナーという職業は無くなるかもしれないということを、お二人ともはっきり口にする。だからもうダメなのか? そうはならないんです。

大河原先生は内資ベンチャーの電気自動車作りにデザイナーとして関わっておられて、つまりジョルジェット・ジウジアーロやケン・オクヤマと同じ土俵にも進出しているんです。しかも面白いのは、大河原先生が自動車として成立するデザインを出したら、クライアントは「いや、大河原先生に求めているのはこれじゃない。腕を付けて下さい。」と言ったとか(笑)

わかります? 公道走るEVにメカアームっすよ。それが道交法クリアしてもうどこかで路上テストに入っているそうです。

先日、超異分野学会で「EV時代にはGoogleやAppleのように自動車メーカー以外も容易に参入出来るので、コンテンツ勝負になる」という趣旨の発表がありましたが、まさにそれよね。大河原メカをEVにして公道走れるようにして売る。

河森さんも、コンシューマ向け3Dプリンターが定着すれば、そこで利用されるデザインをメカデザイナーが手がけることもありうるだろうと指摘しておられました。なるほどですよ。ヴァルキリーの河森さんがデザイン監修した3Dデータってだけで値段アップ納得出来るでしょ。ちなみに河森さんは慶応大工学部中退だっけな。

それ以外にも、ヒンジパーツ使いまくりで異様に複雑な変形をするヴァルキリーシリーズのプロトタイピングはレゴでやってましたっていって、実際にレゴのヴァルキリーモデルが会場に来てたりね。3D-CADの中にレゴのパーツデータ全部入れてあって、それで実際に作ったレゴヴァルキリーをモデリングしてから、レゴパーツに被せるようにしてアニメで使う線を載せていって、そのデータを最終的な3Dアニメでも使うそうです。

何故かというと、3Dアニメではヒンジの位置がデータ上で厳密に決まっているので、手書きセルアニメのように、あり得ない動きを画力で誤魔化すようなメカデザインはもう出来ないのだと。

大河原先生はデザインするときにキャラクターとしてのメカの位置付けや意味合いを考え、河森さんは機械としての特徴や機能から考えてデザインに入るという河森さんの指摘も納得でしたね。

分野は違いますけど自分自身のデザインの仕事にも参考になる話が沢山あって、アニオタイベントを超えた充実の内容の2時間でした。

最後に一言。稲城市は「稲城の太鼓判」商品以外の商品も会場で売らせて下さい。俺も商工会会員なのになんで太鼓判商品(agnate 2014は審査で落とされた)しか売らせてくれないの? 稲城市の税金使ってるのに不公平じゃね?