川崎の事件について、少年法で被害者が守られていてけしからんという声が大きいようなのですが、何が問題なのか今ひとつわからなかったので調べてみました。
まず「少年法に守られていて死刑にならないのはけしからん」説。
これは端的に事実誤認でした。20歳未満の時に凶悪犯罪を犯して死刑判決確定した少年は戦後日本で42人居るそうです。最も新しい事例は光市の母子殺人強姦事件の犯人(犯行時18歳)です。彼は自身が少年法に守られていると勘違いしていたようですが、結果は死刑でした。
今回の主犯らしき人物も18歳。犯行の残虐さを考えると甘い判決は出ないように思います。
次に「名前もわからない殺人者が数年たったら世間を大手を振って歩くから怖いからけしからん」説。
こちらもですね、近年どんどん少年法の法定刑上限が上がっているので、なかなか簡単にはシャバに戻れないことがわかりました。また、罪名ごとの再犯率とその内容の統計調査によると、シャバに戻った後に最も再犯率が低い(17%)のが殺人犯であり、なおかつ前回と同じ犯罪に至る率は0.9%。
シャバに戻った殺人犯100人あたりおよそ1人はまた殺人を犯す・・・・うーむそれは確かに怖いわ。
ただ、私なりにそれについて考えると、仮に殺人犯としての名前が知れていたとしても偽名を使われたら終わりですし、よしんば実名で生活していたとして、じゃあそれで社会が安全になるんですかと問うならば、名前が知れていることと社会の安全ってあまり関係無いと思います。
むしろ必要なのは、出所後に社会の中でどのような居場所を与えられるか(教育・就職・コミュニティ)をきちんと考えて、社会復帰プログラムの性能を上げていくことなのではないでしょうか。
結論です。
「容疑者の実名をネットに書き込むことに建設的な意義は無い。」