【写真文化論・昨日の講評と次週の課題】

MK 相変わらずのマイペースっぷりが素晴らしい。あの独特のノリはきちんと進行をコントロール出来ればプレゼンでも武器になるはず。発表の内容もよく出来ていた。

次週までに深めて欲しいのは「個性を反映するスマホカメラ」という着眼点。これはどういう意味なのか、ここで言う個性とはより具体的な要素に分解するならば、どういったものになるのか、それらがpublisherたちによって発信されることで、21世紀の人類社会の何が変わったのか。「CGM: Consumer Generated Media」というキーワードも関わってくるかもしれない。

JO テキストの要約としては上手くやれていたけれど、テキストの内容を流用して自分なりの観点や考察、問題提起をするという点ではちょっと物足りないものがあった。日本の大学の悪い点なんだけど、レジュメ発表せよという時にテキストの内容を要約させちゃうんだよね。でもテキストは全員が読んできているのだから、教室での学習の位置付けを考えると、極端に言えばテキストの中身に触れる必要はない。テキストを元に、発表者のオリジナルな思考を提示した方が良い。

次週までに考察を深めてきて欲しいのは「We are publishers」というフレーズの「publisher」とは具体的にはどんな存在なのか、どんな存在でありうるのかという部分。みんながジャーナリストになっているということなのか、それ以外のものなのか、あるいは既存の言葉の中には適切なものが見当たらないような、全く新しい情報発信者の類型として捉えるべきなのか。

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MK レジュメ中の引用と報告内容の繋がりが乏しいので、何でこの引用が載っているのかわからなかった。口頭発表の中で引用への言及とそこからの問題提起という形をつくるべきだったかな。

次週に向けて考察して欲しいのは「盗撮」というキーワード。MKは盗撮はいけないこととしているけれど、フォトジャーナリズムと盗撮の境界は実ははっきりしていない。肖像権とかパパラッチとかバカッターというキーワードが絡んでくると思うけれども、現代において盗撮とは何を指すのか、それは社会にどのような影響を与えているのかを、善悪の判断は保留して考えてきて。

YO 時間管理も含めて良いバランスの報告だった。

次週に向けては「インカメ」について考察を深めてきて欲しい。携帯電話機についているアウトとインの二つのレンズはそれぞれ、ユーザーのどんなニーズ、何をしたいという欲望から生まれたものなのか。そして、インカメというレンズ(写真機の歴史を考えても、カメラを持っている人の方を常に向いているレンズなんてコンセプトはぶっ飛び過ぎたイノベーションで、ダゲールもナダールもスティーグリッツもキャパも思いつかなかったと思う)が出現したことで、社会の何がどう変わったのか。

YS よくまとまったプレゼンだった。欲を言えば「ここが聞かせどころ!」というポイントを作ると、聞き手のアタマに更に話が入りやすくなるかな。

次週に向けて考察を深めて欲しいのは、かつてのような一本道で一つの視点に固定されたフォトジャーナリズムが終わった後に出現したものは、いったいどのようなフォトジャーナリズムなのかという点。”If such a shift―from static linear narrative told by a single author to dynamic time-based stories told from multiple perspectives―were the only major change, we’d already be living in very different times. "というテキストの文言にあるように、現代の我々は多くの語り手による報告が各自のタイムライン上にそれぞれ違った形で流れてくるという経験をしているのだけれど、それってつまり何がどう変化したのか? 私たちが今現在経験しているこのタイムライン上の現象は私たちに何をもたらしているのか? 「テクストの線形性」「リゾーム」「ハイパーテクスト」といったあたりがキーワードになるかもしれない。

SB 最後のまとめのところがちょっとグルグルしてわかりづらくなっていた。プレゼンの終わり方をもう少し入念に準備しておくと良い。

次週に向けて考えてきて欲しいのは「現代におけるプロとは何か」ということ。報告の中にもあったように、アマチュアとプロの境界が非常にわかりにくくなっている時代なのだけれど、では携帯電話+SNS/ブログというツールの領域ではプロは存在しうるのか、存在するとしたらプロとはどんなものなのか、あるいは、「プロという区別は本当に必要なのか」というような問題をじっくり考えてきて。

<報告のしかた>

各自、A4で1ページのレジュメに要点をまとめて配布した上で、「自分はこう考えた」という内容を口頭で報告せよ。敢えて各自に向けた問いは曖昧に書いておいたので、それをヒントに「問いを一つ、自分で設定し、その問いを取り巻く状況を簡潔に説明した上で、自分なりの結論とそこに至った考察の流れを提示」してください。