「良い写真って何?」の単元が終わりました

今日は「良い写真って何?」単元の最終回。

とはいえ、前回は議論拡散フェイズのままで時間切れになったので、90分で単元の目標である「任意の写真の価値を記述する汎用フォーマットの完成」まで持ち込まなければいけません。

さすがに学生だけの議論では無理かなあと思ったので、今日は完全にファシリテーターモードに切り替えて講義に突入。まず「価値」をどう定義するかを議論したのですが、ここは手筋通りウィトゲンシュタインの「是認」からマルクス経済学と近代経済学それぞれの価値の定義を少し詳しく説明し、さあここからが難しいとこです。

交換価値にしろ使用価値にしろ欲求充足にしろ、基本的には経済学の中の概念ですから、食べたり使ったりして「役に立つもの」については扱いやすいのですが、果たして我々が趣味やヒマツブシで撮って無償公開した写真と、プロが商品として撮った写真の価値を同じモノサシで測れるのでしょうか? 市場に出した時の値段? そもそも市場に出ても値段が付かないものが大半ですから却下です。

そこで我々が思いついたのは、享受者が個々の作品に支払う費用で作品相互の価値を比較出来ないかというもの。それも、取得のための初期費用だけでなく、享受のために費やす機会費用も合算した上で、価値評価日と評価者を明記すれば、同一評価者における価値の通時的な変化も記述出来ますし、同一日時における複数の評価者間の価値の差異も記述出来る。なんと為替レート変動による価値の変化までも(笑)

じゃあ一応これで行こうかと決まったら、今度は評価シート上に設定する変数の名称の再検討、変数の尺度水準の検討、グラフィックデザインの検討・・・。9割方終わったところで終鈴となったので「今日はここまで」と言ったのですが、例によって誰も席を立たず、結局10分くらい議論延長となったのでした。

学生たちと一緒に研究してる感バリバリで、結構楽しかったです。

#写真文化論