NPOやるならウェブ運営の勉強すべきじゃない? なんでアナリティクスも入れてないサイト作るの?

先日、いきなり慶応の院生の方からメッセージをいただき、その方が運営されている小さなNPOの経営戦略について色々と意見を交わしました。

その方は途上国の貧困層の支援をしておられるのですが、資金集めや今後の運営の方向性など、まだまだ考えていかなければならないことは多いようで、客観的かつ容赦の無い意見を爆撃してくれそうな人材ということでご相談いただいたのかと推測します。

さて、その方のNPOの活動をウェブサイトによって大まかに拝見したところ、すぐに幾つかの課題は指摘出来ました。社会問題の解決についての強い思いは伝わりますが、以下のような点が足りないと私は考えたのです。

1) 組織の活動のKPIが設定されていない
2) 短期決戦型プロジェクトなのかゴーイングコンサーンのプロジェクトなのかわからない
3) 「課題の指摘」→「解決法とその選択の妥当性を示す論拠の提示」→「費用見積もりと資金調達計画の提示」→「工程表の提示」というような一本道のストーリーが無いので、何をするつもりなのか読み手に伝わらない
4) ウェブサイトの戦略的な管理が行われていない。
5) 個人のドネーションに頼っていて企業スポンサー獲得を意識した経営が行われていない

まずKPI(Key Performance Indicator)が無い、つまり課題解決の進捗状況や投資に対する成果をどんな指標で測るのか決まっていないという点は、社会問題の解決という建前を掲げつつも会員の相互親睦が真の目的「でない限り」、直ちに改善すべきですよね。

それからプロジェクトがいつ終わるのかが曖昧な点も、プロジェクトのトータルなデザインが完了していないということなので、きちんと考えるべきではないかとお伝えしました。

一本道のストーリーを書け、とは、卒論の研究計画書を書かせる時や就活のエントリーシートを添削する時にも散々言っているのですが、相手は何の予備知識も無いのですから、「あれもやりたいこれもやりたい、あれもできそうこれもやれるかも」というアラカルト型のプレゼンでは「で、何をしたいの?」と思われて終わりです。そこらに落ちているダメNPOならともかく、あなたのような賢い人はそういうダメ展開をしてはいけない、とは言いませんでしたが、私の本音はそこです。その賢い頭脳を世のため人のために役立てるには、ここは外してはいけない。

ウェブサイトの戦略的な管理とは、コンスタントな情報発信や見やすいサイトデザイン、アナリティクスの導入によるPVやユーザーの分析です。それをしましょうよということです。

そして、以上で挙げた4点の全てが最後の項目に関わって来ます。

一発勝負の資金集めをクラウドファンディングでやって、お金が集まったらグダグダ展開でお茶を濁してフェードアウトというNPOでは、せっかくのお金の波及効果が極めて限定されてしまいます。補助金助成金の類も同様。ルーズでシマリの無い資金からは一流の実践はなかなか生まれない。どうせやるなら、企業に「ここは宣伝になるな」と思わせて、スポンサーになってもらえるようなレベルの運営をすべきと私は考えます。

そのためには、KPIを設定し、プロジェクト完了までの資金計画と工程と採用するソリューションを説得力のある数字で示し、更にウェブサイトのアナリティクスによって自分たちのプロジェクトに関心を持っているのがどんな層なのかを知らなければいけない。

サイトのPVが月間でこれだけあって、FBのいいねがこれだけ、オーガニックリーチがこれだけ、TWのフォロワーがこれだけで、もちろんいいねやフォロワーは買っていません。主に当NPOの活動に関心を持ってくれている方々の年齢層はこう、ジェンダー比はこう、使用OSやデバイスはこう・・・・。

そういう数字データがあれば、どんな企業にスポンサーをお願いしたら良いのかわかりやすくないですか? 企業でプレゼンする際にも、アナリティクスの数字提示したら説得力が違いますよね? クラウドファンディングだって法人向けに、プロジェクト冠スポンサーとかステッカー貼付とかを売る項目があったって良いじゃないですか。何でそういうの売らないの?

とまあそのような容赦の無い爆撃を致しましたわけです。で、ふと気になってグーグルさんで「NPO ウェブサイト 運営」で検索しましたら、そういうお話が全く出ていない。我らがETICさんのセミナーもざざっと見たけどやっぱそういうことは教えていないようですわ(NPOでもなんでも財務経理とウェブ運営は最初に勉強すべきだと思うんだが俺間違ってる?)。

なので、問題提起としてここにメモ代わりに書き残しておきます。