長谷川修一『聖書考古学』(中公新書 2013)読了。
著者は立教大学文学部史学科の2年後輩(ただし同い年)で、ゼミは地理学の小西先生のとこだったそうです。そしてキリスト教学科の月本先生に出会って考古学に転身・・・同期の江添誠くん(慶応大)や、同じく史学科の1年後輩でお茶の水女子大の博士課程に行った米倉立子もそんなような経緯だったかな。当時の立教の史学科でキリスト教や古代ローマ関連の考古学の研究者になった人が多いのは絶対月本先生のせいだと思います(笑)
さてこの本、残念ながら記述が非常に散漫で、とても読みづらい本でした。特に3章から6章までは時系列で族長時代から紀元1世紀の死海文書制作まで概観したあたりは、症状が酷いですね。話題があちこちに飛ぶし、出てくる固有名詞は専門家でもなければさっぱりわからない古代のイスラエルやユダ、アッシリアなどの王の名前。地名も同様。
著者自身は専門家だから困らないでしょうけど、決してこの話題について知識が少ない方ではない私でさえ「ナニコレすっげー読みづらい」と思った本ですから、おそらく旧約聖書を読み込んでいる人でもなければなかなか最後まで読み通せないんじゃないかなあ、と思います。
真面目に書かれた本だってのはわかりますけどね。章ごとに何か大きな論点を設定して、その論を解題しながら様々な話題をそこに結びつけて書く方が良いし、盛り込む情報ももっと本文では絞ってしまうべき。知ってる話を出来るだけ入れようとしてこうなったんでしょうけどね。本文の外にコラムのような形で配置すべきだった。
とはいえ、個人的に非常に興味のある分野なので、次作に期待です。
あ、もちろん私も月本先生の講義は取りましたよ。一般教養科目でしたが。