3年で諏訪から向陽台まで出来るもんかい

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

 またまた息子が熱を出したんで医者に連れて行ったのですが、帰りに寄った薬局で変なものを見つけました。

 高畑勲『徳間アニメ絵本 平成狸合戦ぽんぽこ 総天然色漫画映画』(徳間書店、1994年)

 この映画は1度しか見たことがないのですが(そもそも私は映画があまり好きではない)、その時には全然気づかなかったなあ。作中では「ぽんぽこ31年」から「ぽんぽこ34年」にかけて発生した多摩ニュータウン建設における狸と人間の闘争が描かれているのですが、最初に作中に登場するニュータウンの風景は明らかに現在の多摩市諏訪および永山地区。コルビュジェのユニテ・ダビタシオンの縮小版みたいな羊羹型コンクリマンションがドミノのように建ち並ぶやつです。あの光景を見てショックを受けた南山の地権者さんたちが、公団には絶対に俺たちの土地は売らねえと決断したというね。

 ところが「ぽんぽこ31年」に佐渡に向かった文太という狸が3年後に多摩に戻って来たシーンでは、稲城市向陽台地区の中・高層住宅群のようなものが見えている。実際には諏訪・永山地区の街開きが1971年で向陽台地区の街開きが1988年ですから、実に17年のタイムラグがあります。ま、狸が人間に化けるというファンタジー映画ですから、リアリティを追求してもしょうがないんですけどね。

 でもこの間、多摩ニュータウンでは先行する住区での経験を踏まえた設計思想の変化が何度かありましたし、諏訪・永山地区の中層集合住宅は電気洗濯機にさえ対応していないような古い古い設計もあって全面建て替えをする以外無い状況ですが、向陽台くらいになると集合住宅の設計は(多少トンマなとこはありますけども)現代でも充分に通用しています。高畑氏がどういう考えで諏訪や永山と向陽台や南大沢を一緒くたにして描いたのかはわかりませんけども、個人的には、「粗雑な話だ」と言わせていただきます。