4月に入って、各業界最大手の新卒採用選考が佳境に入り、大量の不採用通知が発送されているようです。
俗に言う「祈られる」。
「今後のご活躍をお祈りいたします」というやつですね。
就活はいよいよ第二ラウンド。B2Bの大手や中堅の採用枠争いへと移っているようです。ま、最大手の選び方を見ていてもあまり人材見る目無いなあという感じはしますけどね。業界両雄の片方に面接前にあっさり落とされた学生が、もう片方では順調に面接をクリアしていたりして。
さて、私はといえば新卒一括採用の就活は経験していないのですが、研究者としてはまあ色々と競争にも参加してきました。その辺の経験から申し上げますとですね、今この時点で最大手に入ったからどうだとか、あまり無いと思うのです。それはあくまでも一つのチャンスを手にしたというだけの話であってね。たしかに最大手クラスには大きく成長出来るチャンスもあると思いますよ。でも、それを生かさないんだったら、つまらんです。
私個人の話をしますと、歴史学から音楽社会学という、かなり遠い分野に専門を変えて修士に入りましたし、強力な学閥のある主要旧帝大(私の分野の場合は東大・阪大・東京芸大が圧倒的)でもない地方国立大や私大の大学院だったので、助成金やポストの公募では殆ど勝負になりません。3大学閥の院生たちがすいすいとキャリアパスを進んで行くのを眺めて、悔しいなあと思う日々でした。
それが10年ちょっと前のことかな。
じゃあ今その、かつての「気鋭の若手」の皆さんがどこで何してらっしゃるのか。まあ皆さんそれなりの大学の専任の先生におなりになって、それでツイッターで毎日毎日、仕事つまんねえとか、人生なんか何の意味も無いとか、文科省うざいとか、そんなようなことをお書きになっている、その程度。
え?
いや本当にそうなんです。中には専任におなりになったわけでもなく、なんか左翼活動家みたいなことをやってらっしゃる方だっている。博士課程に入った頃はブイブイ言わせてたのに。
みなさまのこの10年間ちょっと。何を成し遂げたのかという視点で見ると・・・・・・・竜頭蛇尾・・・・? ポスト確保して何冊か教科書用の本書いて、そこで進化が止まっちゃってる「気鋭の若手」の何と多いことか。
その間私は何やってたかというと、ホクレアの仕事してアラトリステの仕事して、母校で沢山の学生の成長に(多分)貢献出来て、色々な世界の色々な人たちと知り合って。カネは出て行く一方だったけど、30代メチャメチャ楽しかった。自分にしかやれない仕事を三つか四つは成し遂げた。いや、もっとかな。
どっちが良い人生か。決まってます。俺の人生の方が絶対良い人生。だって「気鋭の若手」だった人たち、別に大学教員が好きでやってるわけじゃないんだもの。他に稼ぐ手段が無いと思い込んで、自分で自分に枠を填めて、「大学教師なんか無力」とか「人間なんか生きてるの自体何の役にも立たない。生きている必要も無い」とか呟きながらだらだら大学教員やってるだけなんだもの。自分の仕事を呪いながら10年も20年も生きていくくらいなら、せっかく良いアタマ持って生まれてきたわけだし、本当にやりたい仕事を探しに行けば良いのにね。
それと同じ話だと思います。誰もが知ってる超有名企業に入れたのは、まずはおめでたい。でもそこで貪欲に自分の成長を追求し、そうやって手にした能力でより多くの人により高い価値を届けるのでなかったら、その人生はかなり無駄遣いです。人生の価値は成し遂げたことの量、分け与えたものの量で決まりますから。
さあ、就活の第二ラウンド。焦らず、腐らず、楽しく行きましょうね、皆さん。面白い未来の可能性は、まだまだ沢山待ってます。