10日間、白樺湖・蓼科エリアに滞在しました。思ったこと。白樺湖すごい。
何がすごいって、こんだけ平均レベルの低い観光産業でなおこんだけ客呼べてるってこと。ものすごいポテンシャルがあると思いますよこのエリア。
だってさあ、皆さん。白樺湖ってね、ビジターセンターが無いのです。びっくりですよ。それだけじゃない。あの、どこにでもあるはずのコールマンのガスボンベが買えない。麓の茅野のホムセンにも在庫なし。白樺湖の周囲のコンビニもヘボいローソン1軒だけ、みやげ物屋の品揃えは30年まえのセンスで、SDカードさえ置いていない!!! コインランドリーも無いから4泊以上の滞在客は茅野に降りるしかない(池の平ホテル内にヘボいのがあるけど、ヘボすぎて無いのと同じ)。
アウトドアアクティヴィティのメニューはゴルフとテニス、あとポニー引き馬乗馬、スワンボート。登山。冬はもちろんスキーとスノボ。ちょっとだけリバーカヤックやラフティングもあるみたいですけども。白樺湖ファミリーランドも昭和感全開のレトロ遊園地で、東京ディズニーランドを知ってしまった現在の日本国民には厳しいでしょう。
だから湖の周囲には点々と、廃業した宿泊施設や土産物屋の抜け殻が散らばっているのですね。
でもまあそれでも、何とか観光地として成立しているのだから凄いです。凄いポテンシャル。素質だけで勝負できている。松島みたいです。でも10年後ここはどうなっているんだろう? このままだとあまり良い未来は見えません。
一番見えやすい問題点は、エリアマネジメントの不在。茅野市、長和町、立科町の三つの自治体が接する境界部分にあるからなんだろうと思いますが、白樺湖・蓼科・姫木平・霧ヶ峰・女神湖の各エリアを統合的にマネジメントできていないし、白樺湖エリアでさえ茅野と長和に分かれちゃっている。
そして昭和の頃の感覚で止まったままの経営感覚が蔓延しているのも痛い。ファミリーランドはバリアフリーのかけらもないし、設備更新もまったくしていない。飲食店は分煙も出来ていないところが多い。夏は1泊2日でファミリーランドと霧ヶ峰観光で帰る客しか念頭に無いみたいです。
では私が考える夢の白樺湖エリアの形はどんなものか?
もちろん中心になるのは白樺湖で、湖畔には大規模なビジターセンターがあります。「道の駅」でも良いでしょう。また道沿いには高級ブランドのショップやアウトドアブランドのショップ、カフェなどが並び、何をするというのでなくてもぶらぶらしていて楽しい空間に。
アクティヴィティ面では、トレイルランニングやMTBライド、ホースライドのコースを周囲の森林に整備し、ビーナスラインを中心としたロードバイクの需要も掘り起こして、これらの愛好家を大々的に呼び込みます。当然、トレランやバイクのショップ兼アウトフィッターも数軒は欲しいですね。トレッキングについてもコース整備を行って、ビジターセンターでガイドマップを配布した方が良いでしょう。
白樺湖がこんな場所になったら、8月に一人20万の航空券買ってスイスやカナダやUSAに行かなくたって、中央道を渋滞込み半日走れば、同等のポテンシャルのある高原リゾートにアクセスできるわけで、人来ると思いますよ。湖畔散策、MTBやロードバイク、牧場観光、霧ヶ峰・車山とレッキング、キャンプ。1週間は軽くつぶせるでしょ。
ブランドショップ戦略は軽井沢でやっていますし、アウトドアアクティヴィティを前面に出したエリアマネジメントは清里で既に始まっています。どちらも出来ない話じゃありません。がんばって欲しいです。
追記:清里にも1泊してきましたが、清泉寮と池の平ホテルのマネジメントのレベルの差はもう歴然でした。ショップのセンスからして勝負にならない。キープ協会が運営を受託している山梨県の自然観察施設もとても工夫されていて(そういえば阿部治さんの2年ゼミが毎年秋にここでのシンポジウムに参加していたはず。今の私の3年ゼミにも出身者がいます)、子連れで1日つぶせます。当然の帰結として、清里ではやたらめったら目についたBMW5シリーズとベンツのEやSが白樺湖周辺ではほとんど見当たらない(クラウンはいっぱい走ってたけどさ)。知り合いの開業医も、子供の頃は白樺湖によく行っていたけど、大人になってからは白樺湖は幻滅するので行っていないとのこと。さもありなん。