私は人社系なので理系の状況は全くわかりませんが、人社系について言うと、何だか皆さん追いつめられるべくして追いつめられている気がしてなりません。
これは、「大学院なんか行ったって仕事無いぞ」という例の警句を無視した段階でもうアウトでしょというような話ではないですよ。それでも大学院に行きたいのなら、私は行くべきだと思います。一度きりの人生。本気で学びたいことがあるなら、学びに行くべきです。問題はそこからです。
皆さん、アカデミアの住民になると、同じムラの人たちの方ばかり向いて生きるようになってしまうんだな。同じ分野の先輩、同じ分野の偉い人、あるいは人社系の大物評論家とか、とにかく同じ業界で何とかしてコネを掴んでコネを増やしてギルドを組んで生き延びようとしている。週末は学会だ研究会だシンポジウムだ都心に通い、ネットでは同業者のツイートばかり集めてTLを組んでね。そこでやり取りされる話題もまあ大概は自分の業界話に花を咲かせているか、専業研究者業界の縮小トレンドへの嘆き節をやり取りしているか。
結果、業界の古い慣習や発想や価値観にアタマのてっぺんまで染まっちゃう。何が何でも専任教員。専任教員になったらなったで、少しでも入試難易度が高く、少しでも山手線に近い大学に勤めているのが勝ち組。そのためには目立つ業績を積み重ねてコネを拡げて・・・・。そんなことばかりやっとったら、そりゃあアカデミックポスト以外の仕事は出来んようになりますわ。
専任教員志望でパーマネントなアカデミックポストを手に入れていらっしゃらない方々って、なんだかいつも思い詰めたような顔をしておられて、そしてここが本当に不思議なんですが、私が実業界の人たちとの飲み会に誘っても、まずもって出てこないんです。地方や辺境で小さな商いしている方々とはフィールド調査で仲良くなりたいし、仲良くなっているのに、大都市で大きな商いしている方々には興味無いのかな、社会学者や文化人類学者は・・・・・。
博士号持ちを一般企業が雇ってくれないってぶうぶう言うけど、あの行動様式見たら、博士号あろうが無かろうがそりゃ雇えないですよ。年俸400 万で雇ってもらおうと思ったら、売り上げ1200万は自分の腕っぷしで何としても叩き出すぞって気合い持たないとあかんし、そのためには今現在お金が動いている場所のことを知っておかないと駄目なのに、人間関係も発想もどんどんどんどん狭く狭く研究業界に絞り込んでいくんじゃねえ・・・・。
そして、自分の学んできたことをビジネスに接続していこうって発想が絶望的に乏しい。博士課程出て学位記も手に入れた。そこでもう切り替えて、自分の持ってるものをどの企業のどんな商売に接続したら、もっと良い商品良いサービスを創造出来るのか考えましょうよ。考えたら企画書書いて持ち込んで、関連業者も回って折衝して、即プロジェクトマネージャーで採用してもらえるくらいの仕込みをしてみましょうよ。学部新卒みたいに、とりあえず雇ってもらって一から新人教育してもらおうなんて甘すぎる発想で産業界が動くの待ってたって駄目ですから。
せっかく出来の良い脳みそ持って生まれて来たのに、なんてもったいない使い方をしているのかと、ちょっと悲しくなっちゃいます。