絵を買った。

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 絵を買いました。

 うちの近所に住んでおられるという「しみずその」さんという絵描きさんが描いた、マドリードのマヨール広場の絵。某所の展覧会でたまたま見かけて「これはもしかしてマドリード?」「わかりますか?」というやりとりがあり。

 そりゃあわかりますよ。アラトリステがいつもうろついてる界隈だし。

 ほんわかとした画風の方です。そういうテイストでマドリードを表現した作品って、実はとても珍しいので、一目で気に入ってしまいました。

 「これ、売ってるの?」と質問したところ、ここでは売っていないが展覧会が終わったら売れますとのことだったので、値段交渉の末、売約成立です。面白かったのは、値段付いていなかったこと。まだ絵を売ったことが無いそうで、自分の絵にいくらの値段を付けて良いのかもわからない様子。そこで私から値段を提示して検討してもらいました。

 こういう取り引きは難しいといえば難しいですね。何しろこれからデビューしようかというプロ未満の絵描きさんですから相場が無い。日本国内で活動しているプロなら1号あたり何万円という相場がだいたいその人によって決まってますから、買う方も相場に従って金を出す。安野光雅ならこのサイズで百何十万円、五味太郎なら何十万円というね。

 ところがしみずさんの絵には相場が無い。プロデビューしてませんからね。そういう絵描きさんの、四つ切り画用紙に描かれた水彩画一枚に、さあ自分はいくら出せるかという話になります。純粋に、目の前にある美そのものに値段を付けて売買をする。そんな経験はまず出来るもんじゃありません。だから私としても楽しかった。

 さて、しみずさんがこれからどこまで絵描きさんとして育っていくのか。お客さん1号として、とても楽しみです。また良い絵があったら売ってもらおう。