ホクレアがハワイに帰っていってもうすぐ2年になります。その間、以前から宣言していたように私は自分の地元をフィールドとして、幾つかの活動に取り組んできました。
その中で見えてきた、一つの課題があります。
1970年代までが全盛であった20世紀型左翼思考の持ち主の皆さんを、いかにして解毒していくかということ。これは本当に骨が折れると言いましょうか、正直、私にはその方法が思いつかないくらいに大変なテーマです。
なお、20世紀型左翼思考と私がここで呼んでいるのは、簡単に言えば「権力者は信用出来ないから、徹底的に監視し、批判していかなければならない」という世界観です。そういう世界観は、例えば自治体が市民に政策提言を求める場での「ここで私が言ったことが市に悪用されるんじゃないかと思うと不安でたまらない」とか「市民の負担増を市民側から提言するなんて絶対反対」という発言に端的に見ることが出来るでしょう。
根本的に行政を信用していないのです。疑心暗鬼から入る協働作業。そんなものがあり得ないことは、常識で考えればおわかりになるかと思いますが。考えてもみてくださいよ。「一緒に知恵を出し合って、協力していきましょう」と手を差し出している相手に対して、面と向かって「あんたなんか信用出来ない。うかつに何か言うと、どこでどう悪用されるかわかったもんじゃない。でも、これとこれとこれとこれは、絶対に必要な政策だから必ず実現してもらいたい。」と言い放つわけです。
何ですかそれは。
「お前なんか全然信用していない。でも、お前は私の為に粉骨砕身して奉仕してもらいたい」
こんな台詞を面と向かって投げつけられて、それでそういう相手の為に誠実に努力しようと思える人は聖フランシスコとエディ・アイカウくらいだと思います。
たしかに日本の自治体が常に誠実だったわけではありませんし、失敗した政策の例だっていくらでも挙げられるでしょう。ですけれども、まだ何も具体的なことは始まっていないのに、最初から行政を疑ってかかるというのは行き過ぎでしょう。それが最善の結果を生むやり方だと考えておられるのか、真剣に悩んでしまいます。信ずるに足らないのは、むしろこの種の思考に囚われている人たちではないか。
多摩ニュータウンで最も成功しているNPO法人の一つに、八王子市の長池公園周辺で活動している「NPO FUSION長池」という団体があります。この団体は八王子市や内閣府とも上手につきあいながら、行政にも企業にも出来ない、まさに非営利セクターならではの成果を上げていますが、そこの理事長の富永さんにお会いした時に、しみじみと言われたことを思い出します。
「行政と喧嘩したら何も出来ませんよ。」
もちろん、行政と対立して見せることそのものが目的の方々もいらっしゃるでしょうが、そういう方々は別として、本当に建設的な議論と協働作業をしようと思わっておられるのであれば、疑心暗鬼から入るのはとりあえず止めていただきたいものです。行政と対決しながら街作りに成功した例というのは、私には思いつきません。
とはいえ、繰り返しになりますが、私には彼らを解毒する良い方法を思いつけない。誰かアイデアをお持ちでしたら、助けてください・・・