松姫峠、鶴峠、そして甲武トンネル

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 先週も[http://everywhere-kagemarun.blog.so-net.ne.jp/2009-09-13 梅之木峠ヒルクライムをご一緒したかげマルッさん]と一緒に、今日は山梨の峠を二つ走って来ました。

 とはいえ、かげマルッさんと私では脚のレベルも身体のレベルも三つくらい違います。何たって彼は昨年の[http://www.hasetsune.com/ 日本山岳耐久レース]で総合32位入賞というトレイルランの猛者。体脂肪率6%。もともと体格も違えば肉襦袢も身にまとっている私ですから、そりゃもう平地でも上りでも30秒で千切られる感じです(下り坂では重力パワーで何とかついていけますが)。

 そんなわけで私は中央線猿橋駅まで輪行して、練馬区の自宅から90キロを自走で来られた(しかもわざわざ醍醐林道なんか越えて来たらしい)かげマルッさんと合流し、松姫峠を目指したのでした。

 私たちがひた走るのは国道139号線。三桁とはいえ国道なはずですが、道は至る所で1車線の交互通行。峠の上り口の手前の上和田集落には、[http://www.otsuki-kamiwada-e.ed.jp/ 今年3月に閉校となった小学校]がありました。山あいの小さな平地に造られた、小さな小学校。でも、集落の人々に大切にされ続けて閉校の日を迎えたことが感じられる、魅力的な小学校でした。

 国道139号線、そして松姫峠は、大都会のキワの丘の上からやってきた通りすがりのローディーにはとても魅力的な場所です。しかしこの時代に、このような土地に「小学校が維持出来る程度の」キャッシュフローを成立させることは容易ではありません。数年後には小菅村から松姫峠の下を抜く3400メートルのトンネルが開通するそうですが、小菅村やその先の奥多摩町だってそれほど多くの観光客が入り込む土地ではありません。奥多摩街道も檜原街道もそれほど多くの容量を持つ道じゃないですからね。それに、この辺りは坂馬鹿ローディーにとってはこの世の天国・・・いや、この世の地獄が沢山ある天国ですが、他の観光客にとってはどうかなあという気もします。それこそ、坂馬鹿ローディーやトレランにピンポイントで焦点を当てた商品開発で、彼らにお金を落とさせるようにでもしないと・・・。

 松姫峠を越えて小菅村の手前で右折し、鶴峠を目指します。鶴峠はこちら側から行くと、上り口からピークまで大した距離は無いのですが、そのかわり勾配がきつい。3キロ弱で180メートルほどを一気に上る感じで、平均斜度で7%くらいはあるでしょうか。息を入れる場所が無いのがつらかった。そしてこの鶴峠が、多摩川水系と相模川水系を分ける分水嶺なのでした。

 鶴峠からは、秘境としか呼びようのない集落を幾つも抜けて上野原へと下っていきます。ここから東京へと戻るルートはヌルい順に「相模湖から橋本ルート」「大垂水峠ルート」「和田峠ルート」があるのですが、ちょっと待て。もう一つ、甲武トンネルを抜けて檜原街道に出るルートがあるじゃないですか。私もかげマルッさんも甲武トンネルというのは行ったことが無かったんで、何となくこのルートを選択。

 しかしこれが甘かった。トンネルってんだから大した上りは無いだろうと思っていたら、棡原(ゆずりはら)の分岐からトンネル入り口までの5キロに獲得標高370メートル、平均勾配8%弱という、堂々たる峠だったのでした。きついっすよ、これは。大垂水に回れば良かった。(私だけ)ひいひい言いながら何とか甲武トンネルまで辿り着き、武蔵五日市駅まで下って解散になったのでした。いや、いつもなら武蔵五日市駅から家まではクーリングダウンを兼ねた自走で淡々と帰るんですが、今日はもう左膝に痛みが出てましたから。

 かげマルッさんと一緒に行くのはだいたい奥多摩の峠で、これまでに盆掘林道、醍醐林道、梅之木峠でサポートしていただきましたが、やはり一人だけで携帯の電波が届かない峠に行くのと、バディシステムで峠を走れるのとでは、安心感が違いますね。走りのレベルは全然違いますが、私が1回峠を上る間に2回上ったりして待っていてくれますから。

 それにしても高尾のちょっと先に、こんな静かな峠があるとは想像も出来ませんでした。八ヶ岳とか乗鞍などの著名な観光地も良いですが、それらより遙かに近所に、はるかに鄙びた秘境が沢山埋もれているわけで、何とかこういう場所を観光地として再生出来ればと思いますね。