昨日の2年ゼミは週末実施のフィールド調査実習の企画検討。担当チームが「古着とエコ」というテーマでフリマと古着屋を取材するという企画をつくってきたので、その内容を90分でブラッシュアップした。
まずは極めて単純に、「ここをクリアにしておかないとイベントが流れない」という部分をリストアップして、順次確認。班分けとか取材先アポ取り、使用機材の調達分担、コンペ部分の採点システム等。その場で決定出来ない事項については、目指すべき方向性を示した上で幾つかのアイデアを出させ、担当チームに持ち帰りでプランの手直しを指示。ここまでで20分。
その次は一番大事なところ「エコとは何か?」「古着とエコはどのように結びつくのか?」という問題を考えさせる。そもそも「エコ」とは何の略語なのか、エコロジー? ではエコロジーとはいかなる概念なのか? 誰も答えられないので、事典で調べさせる。「生態学」? では「生態学」とは何か? それと古着はどう結びつくのか? 「生態系」「食物連鎖」「巡り巡って」などのキーワードは学生たちから出てきたが、その先に進めない。タイミングを見計らって「生物多様性」というキーワードを示す。更に考えさせる。
「服をリサイクルすることで、自然への悪影響を減らせる」というところまで辿り着くのに15分。では「自然への悪影響」と「生態系」の関係は何? まだ答えではない。お前たち、去年の基礎演習で『環境の社会学』を読んだはずだろう? ・・・・でもやはりわからない。
学生たちの手持ちの知識が完全に尽きたようなので、まずロジスティクスの話題からアパレル系産業の省資源化について解説する。何も考えずに大量ロットで生産し、何も考えずに巨大倉庫に入れ、何も考えずに取引先に配送し、何も考えてないから沢山の売れ残りを出し、何も考えずに倉庫に戻し、棚卸し資産が邪魔になるのでしばらくしたら裁断処分する。材料も輸配送の燃料も工場や倉庫のエネルギー消費も無駄遣い。服が店頭に並ぶまでにはこれだけ資源を使っている。適切なリサイクルのマーケットが成立すれば、より少ない資源で売り上げを確保することが出来る。
原材料面で見ても、服の主要な素材である綿の生産は、過去にアラル海の縮小というとてつもない環境破壊を引き起こしたことがあり、無尽蔵に調達出来るような資源ではない。そもそも、畑のような場所は、見た目は美しくとも生物多様性という部分では、あまり豊かな場所ではない。
では、服を1着つくるための木綿を生産するには、どれだけの面積の畑を必要とするのか? その辺から、このテーマをもっと深く掘り下げていくことが出来るのではないか? あるいは君たちが「もう要らない。着ない」と思っている服の中にも「デザインに飽きた、デザインが古くなった」というものがあるが、それはエコロジカルな消費という視点から見ると、いかに解決出来るのか?
そこをもっと詰めておくようにと指示して90分のゼミが終了。
単に面白い写真を撮るだけのゼミでは無いのだよ。