結婚して以来、10年近く住んできた家を出て、もう少し広い家に移ることにしました。今の家が65平米。3人家族ならこれで充分という世帯も多いかと思いますが、うちの場合は私の本やら楽器やら自転車やらCDやらオーディオセットやらが(以下、恥なので略)。
新しい家は95平米で、家賃は3万円アップです。3万円。
どうなんでしょうかね。これで息子を小学校から私学にやるとか、受験のために塾に通わせるとか、習い事をさせるとかしていったら、さすがに家計は苦しくなるのかもしれません。でも私は最近の私学ブームに対し極めて懐疑的です。
私の親族には公立学校の校長経験者が複数おりますし、知人や後輩には私学の教員も沢山います。大学では私学出身者と公立校出身者のどちらも教えています。その経験から言ってですね。公立と私立で、少なくとも教員の質の差は無いですね。さらに言うと、私学のえらい人のほうが独善的かもしれません。これは東京にある某とても有名な私立小学校の元校長という人と飲んだ時に思いました。この人よりは自分の叔父の愛知の公立小学校の元校長の方が人間として幅が広いんじゃないかと。
ま、私学校長氏も教育に対して情熱的なのはわかります。でも、自分が正しいと思う方向性に迷いが無さ過ぎる。これで良いんだ、これが正しいんだというものが確立されすぎている。ちなみに、その人の奥さんという方も同じ学校の教員で、なおかつ系列の大学の教職課程の非常勤講師もしておられるそうなんですが、自分が担当した学生の悪口を嬉々として並べ立てているのには閉口しました。
私の親族友人知人、教員をしている者やしていた者は掃いて捨てるほどおりますが、教え子の人格をおおっぴらにけなしている人物に出会ったのは初めてでしたね。いや、私だって「君には単位は出せないから、来年ガンバレ」と申し渡すことはありますけど、専任の担当教員には「こういう事情で大変申し訳ありませんが、単位はお出し出来なくなりました。でも悪い子ではありませんから、来年頑張れば、今回のこともきっと肥やしになると思います。」とお伝えしています。学生の悪口を言うなんて出来ませんよ私には。それは自分が低能だと言っているのも同然じゃないですか。
あれ以来、どうにも私学というものに懐疑的になってしまうんです。私も妻も名門と言われる私立の一貫校出身ですが、教師や教育の質がどういったものかは大体知ってますし、それに、勉強なんて結局は自分でするものですしね。指導要領が変わるとか増えたとか学力テストの結果公開がどうのとか大騒ぎしている方も多いようですが、そんなのどうだって良いんじゃないのという思いがある。
評判の良い教育機関に子供を入れておけばあとは先方の責任でどうにかしてくれるだろう、なんて発想は私にはありません。制度を手直しして現場を締め上げればとかいうのも甘すぎる。
子供を立派に育てたいならば、親が自分で手をかけなくてどうすると思います。手ですよ手。金じゃないの。「金が無いなら自分のアタマを使え。手を動かせ。」というのは真実ですが、こと教育に関しては私の考えは違う。「金を使う前に自分のアタマを使え。自分の手を動かせ。」
幸いにも私は中学までならどの教科でも教えられる程度のアタマはありますし、文系科目について言えば高校卒業までならやはりどの科目でも教えられます。英語と音楽学と社会学なら博士課程まで(以下略)。楽器ならバイオリンとギターを教えられるし、小学校に上がったらサイクリングやトレッキングや釣りやキャンプに連れだそうと今から計画を練っているし・・・・塾とか習い事とか行かせている暇は無いですね(笑)。これまで勉強と遊びしかしてこなかったような人生ですが、意外にも子供が出来たらお金の節約になっちゃうみたいです。
そんなわけで、やはり息子には公立小学校から公立中、公立高、国立大(出来れば駒場と本郷にあるやつ)と進んでもらって、その間、休日には徹底的に遊んでもらおうと思う私なのでした。勉強は平日の夕方に見てやるからな。