故大内青琥画伯の息子さんから、大内画伯の遺稿集が届きました。
昔からこのウェブログを読んで下さっている方ならご存じでしょうが、そういう方はごく少数派なので改めて紹介しますと、故大内画伯は1980年代にヤップ島で航海カヌー建造に協力し、1987年にはヤップ島から小笠原父島まで伝統的航法術を用いて行われた遠洋航海にクルーとして参加された方です。言わば荒木さんや内野さんの大先輩ですね(ちなみに画伯のお父様は大内青坡という洋画家で、叔父様は大内青圃という一流の仏師でした)。ご存命であれば、ホクレアの日本航海にもきっと駆けつけられたことでしょう。実は画伯がヤップ島で航海カヌー建造に参加していた時の日記帳を見せていただいたことがあるのですが、ホクレアやサタワル島の航法師たちについての記述もありましたから。
さて、この遺稿集の内容ですが、もちろんミクロネシア放浪時代の話もあり、あるいはご両親の話もありと、かなり多彩なものです。全ての文章に共通しているのは、死を真正面から見つめた内容であるということ。遺稿集だからということもあるのでしょうか。画伯の残された遺稿は実はかなりの量があって、航海カヌー関係の未発表の手記だけでも本が一冊出来るくらいなのですが、この本では特に死を見つめた文章だけを集めてあるようですね。
だから画伯の他の本『おじいさんのはじめての航海』『ヤップの島の物語』に較べると、文体そのものは同じように優しいものでありながらも、内容は非常に重いです。晩年の宮沢賢治の文章から受けるイメージにかなり近いものがあります。
明記しておきますけど、とても良い本ですよ。ただし、読む側にもそれなりの準備が必要であるような、そういう本。
興味がおありの方はご連絡いただければ、入手方法をお知らせいたします。