目指せ日本ファンタジーノベル大賞

仕事の合間に小説を書いています。

4章を書き終わって5章に入ったところです。

4章では主人公が最初の旅の仲間たちである二人の傭兵と出会い、これを口説きます。この二人のモデルは明確で、ディエゴ・アラトリステとイニゴ・バルボアです。もちろん名前は変えてありますが、生い立ちや二人の関係は裏設定として全て継承して書いています。

この章で苦心したのは、どうやってアラトリステに仕事を受けてもらうかというところです。

彼が軍の外で動くのは「事件に巻き込まれてやむを得ず」というパターンか、「仲間に懇願されて仕方なく」というパターンばかりですが、今回の仕事は巻き込まれてもいないし、主人公はアラトリステの仲間ではないので、懇願も通じません。

また、主人公は王室の勅命で動いているので、それなら戦闘要員としては正規の武力である近衛兵を使えば良いんじゃないですか、何で傭兵を使うんですかという疑問が生じます。

ですが、ストーリーの展開上、主人公も現時点ではこの疑問に対しての明確な回答を持っていません。

理由を上手く説明出来ないのに、あの気難しいアラトリステを雇えるだろうか?

しかし、ここでアラトリステを口説けなければ話は進みません。もっと単純で「暴れられればOK」の、モモタロスみたいな傭兵では、この先で描く予定の、政治的な駆け引きまで織り込んだ戦闘は展開出来ません。

さあ、どうするか。

アラトリステがどういう人間であるかは、私は日本で一番深く理解しているという自負があります。こういう話をすれば、こう反応する、こう考えるというのは全てわかる。ここからはまさに挑戦、勝負でした。どういう風に話をしたらアラトリステが諾と言ってくれるかを考え、そのように主人公に話をさせ、それを受けて(勝手に自分の中から)出てくるアラトリステの言葉を書き、さらにそれを受けて主人公に話させる。書いていても、最終的にアラトリステがOKと言うかはわからないんです。本当に。作者権限でOKと言わせることも出来ない。彼が納得してくれないと。

途中、アラトリステと主人公は睨み合いにもなりましたが、最後は何とか納得してもらえました。

そして5章。主人公は連日、官庁街に通って築港事業の関連資料を精査しています。たぶん6章でようやく首都を離れることになると思いますが。

ファンタジー小説ってこういうものだっけ。

あ、でも映画版ではアラトリステの中の人はアラゴルンの中の人と兼任だったし(だから何)。