もう一つの引っかけ

 「ヘラクレスの柱」の話というかこぼれ話がもう一つあります。

 実は、「ヘラクレスの並木道」を探り当てる前に、ルート分岐で間違えてバッドエンディングに向かいかけたんですよ。非常に巧妙なひっかけでした。それがこれ。

 これ、スペイン王国の紋章です。左上のお城がカスティーリャ王国、右上の獅子がレオン王国、左下のしましまがアラゴン王国、右下のこれは十字と聖アンドレアス十字(X字)、それに輪になった鎖を組み合わせたもので、ナヴァラ王国の紋章です。さらに盾の下の尖った部分の石榴はグラナダを表しています。中央の丸の中にある三つの百合の花はブルボン家の紋章。

 それで盾の左右に突っ立っている二本の柱なんですが、これが実は「ヘラクレスの柱」すなわちジブラルタル海峡を象徴しているんだそうですよ。柱の上にある二つの冠はそれぞれスペイン王国と神聖ローマ帝国の冠なんだとか。カルロス1世(カール5世)の痕跡ですな。ラテン語のモットー「plus ultra」は日本語にすれば「さらに先へ」。

 イニゴくんの彼女といえば王妃付きの女官ですから、この紋章が何か関係あるのかと思ってしまいました。関係無かったんですけど。

 ちなみに現在の国王、ファン・カルロス1世個人の紋章は、この紋章から「ジブラルタルの柱」を抜いて、その代わりに聖アンドレアス十字(ブルゴーニュ公爵家の象徴)と金羊毛騎士団の紋章を組み合わせたものです。