どれだけ真面目で頑張り屋の学生であっても、在学中に教師が教えられることは限られている

入社した会社のルーチンワークをどう回すかということは大事だし、それは入った会社できちんと習って身につけるべき事だ。

一方、ある組織の内部の視点だけでは発見出来ないものを発見する手法というのも確かにある。自分の場合は社会学という形でそれを学生たちに教えようとはしてきた。

これまで存在しなかった社会現象や社会集団の仕組みを解明する方法。これまでの説明で理解出来ていると思われていた社会現象や社会集団についての、新しい説明を生み出す方法。今の自分なら更に、文献でも参与観察でも統計でも聞き取りでも無く、道具の設計からそれを生み出し使用している社会の仕組みを読み出す方法まで教えられると思う。

しかし時間が足りなかった。

2年次から4年次まで3年間、これほど愚直にやる子も珍しいというくらい頑張った子がいた。正課の講義の外でもあらゆる機会に食らいついて来た。入った会社でも頑張りを認められて、希望の部署への配属が決まった。

そこで更にバリューを出す為に武器になる方法論や学問。3年間では教え切れなかったものが山のようにある。何と悔しいことか。