病的創造者だけが選んで良い道というものがあるのです

私は写真関連の講義を多く担当していましたので、年に一人か二人はクリエイターの道に進みたいという希望を持つ学生が現れます。いや、もうちょっと多いかな。

ですが、実際にフリーランスのクリエイターの道に進んだのは2人だけです。フォトグラファーが1人、アクトレスが1人。

制作会社に就職する、つまり「雇われ」としてクリエイティブ業界に関わることになったのが5人。

ここまでは「良くやった。お前は偉い!」と拍手出来るゾーンです。皆、一定以上の拘りを持って志を貫いたと思うので。

あとは普通に就職するか、あてもなくフリーターか。幸いにして日本には最後のエスケープルート「地方公務員採用試験」が用意されていますから、フリーターも悪く無いでしょう(私自身もまずはそこからスタートしました)。

とはいえ、自分の腕一本で勝負する道に進んだ、リアルクリエイター道を貫いた者が2人しかいないのも事実。その理由も明白です。みんな自律的にクリエイト出来ない人だから。

たしかに課題として強制されれば皆、何か作ります。でも、強制されなくても作り続けられた者は2人だけ。あとは、例えば口ではライターになりたいと言っていても、口以外の部分が動かない。「じゃあ今すぐ何か書いてみろ」と挑発する。「書きます」と口は動く。でも手は動かない。おそらく永遠に動かない。

アタマの上に教師という権力があったからこそやれていたクリエイションや、〆切りもオーダーも無く、気が向いた時にだけ好き勝手なものを作るだけだったクリエイションと、プロフェッショナルとして〆切りを守りオーダーに沿いコンスタントに5年10年と継続していけるクリエイションは、こりゃもう全く別物です。後者が出来る人というのは、そもそもやるなと言われても手が勝手に動いてしまう人です。創造し続けるという病気を持っている人。

よーく考えてみてください。自分のクリエイションが病的かどうかを。もしも「もう止めたいんだけど創作行動が止められない」という病魔の存在が膏と肓の間に感じられないのなら、悪いことは言わないからさっさとOBOG訪問始めた方が良いです。あなたの未来はそっちにしかない。

以上、主に3年生向けの毒舌でした。