マイノリティ、例えばこんな考え方だって出来る

3年ゼミ、マイノリティがテーマなので皆さん障害者とかエスニックグループに目を向けることも多いのですが、例えばこんな考え方だって可能です。

「日本における自転車利用者=マイノリティ」

日本の交通法規では、中学生以上が乗る自転車は車道を走るのが基本であり、歩道は「自転車通行可」の標識がある場所のみ、歩行者に注意して車道側を徐行するならば走って良いということになっています。

しかし実際には車道は自動車が我が物顔で占領していることが多く、違法駐車や幅寄せなど自転車にとっては危険がいっぱい。運動能力や認知能力に不安がある乗り手はどうしても歩道を走ってしまうのですが、その歩道とて狭いし段差やら何やらで走りにくいことこの上ありません。しかも、自転車は現状、保険制度も整備されていないので、対人事故を起こすと高額な賠償を請求されることになったり(私は自動車保険の賠償責任特約で対応してますが)。

更に近年では駅周辺の再開発により、駐輪場が不便なところにまとめられてしまい、それが「自転車ならば駅まで行けるゾーン」の人々の買い物需要を駅周辺から弾き出すLOSE-LOSEの状態を生み出したりしています。店の前にちょっと止めて買い物ということが出来ないなら、駐輪場が整備された郊外の大型スーパーに行くでしょどう考えても。

すなわち、都市インフラとしての自転車レーンや駐輪場、社会インフラとしての事故対応保険など全てが未整備なのが日本における自転車なのです。

制度と制度の狭間に落ちた集団、何となくこの社会で「生きづらさ」を感じる集団。それって我々のゼミの議論ではマイノリティ感満点な流れ。

じゃあ、例えば東京における自転車利用者のコミュニティ(バイクメッセンジャーやロードバイク愛好者、MTB愛好者など)を調査して、そういった人々の間にある有益な文化を、一般のママチャリユーザーに紹介出来るようなアイデアを考えてみる。面白い商品が出来ないか? 面白いソフトは作れないか?

あるいはママチャリユーザーと自動車ユーザーの対立(自転車レーンを新しく作るとそのゾーンの商店主が「荷さばきが不便になった」と文句を言って廃止させようとするなど、場合により自転車ユーザーと自動車ユーザーの間にゼロサムの対立状況が生まれていることがあります)を効果的に解消し、双方に益があるWIN-WINの状況を創造するアイデアを、どこかの地域との協働で考えてみるとか。

それくらいフレキシブルに考えれば良いです。別に卒論でエスニックグループやらなきゃいけないなんて縛りは、制度的にも慣習的にも全く無いので。もっと自由な発想でいきましょう。