現代文化学科2011年度フィールド演習・加藤ゼミの履修者選考方法

■来年度に私が担当する予定のフィールド演習の履修者選考方法のうち、現時点で公表しても差し支えない部分だけ、公表しておきます。他の先生方のフィールド演習と違い、来年度のみの開講になるので、現時点では情報が少ないかと思います。この文章を履修検討の参考にしてください。

■来年度に私の担当するフィールド演習を履修した人は、4年次には阿部珠理先生のご指導で卒業論文を書くことになります。

■これまで幾つかのNPO運動のサポートにフリーの仕事人の立場で関わってきて痛感したのですが、これからのNPOの人間は経営感覚やビジネスマインド、論理的・科学的思考能力が無いとお話になりません。ですが、既に存在している日本のNPOの多くは、その種のセンスを全く持たない、あるいは更に困った例では、そういう発想に感情的反発を持つような人々によって成立しています。私の経験から言うと、そういう人々はもう手遅れです。50歳や60歳という年代の方々に30代の人間がいくら忠告しても、聞く耳を持ってくれません。ですから、これから日本社会を担う若者たちには、経営感覚を持ち、論理的かつ科学的な発想で社会貢献に取り組む姿勢を身に付けていただきたいと考えています。

■上で述べたこととも関連しますが、この演習では文献の読み込みや資料調査と同じかそれ以上に、学外の社会人の方々とのコミュニケーションが重要になります。ですから、学外の方々と一緒に仕事を進める為のマナーや心構えなども速やかに身につけていただく必要があります。こうした訓練や経験は、就職活動あるいは社会人となった後も、確実に役に立つものです。

■この演習の基本にある考え方(ミッション・ステートメント)は以下の通りです。

MISSION(目的):マイノリティ・スタディーズの学習および実習を通して、少数民族問題の概要を学び、自身に直接関わりのある問題としてそれを理解させると同時に、これらの学びを通して、複雑で困難そうに見える課題を着実に解決していく技法を身に着けさせる。

VISION(将来像):1年間の演習を終えた時点で、履修者全員が上記の技法を身に着けており、また実際に一つのプロジェクトを完遂した経験と自信を獲得している。

VALUE(価値観):「怒り・憎しみ・悲しみ・蔑み」から出発するのではなく「喜び・楽しさ・意外性・笑顔」から出発し、「マイノリティのため(do it for the minority)」ではなく「マイノリティの方々とともに(do it with the minority)」、出し惜しみせずに前に進む。

■内容は、マイノリティ・スタディーズとソーシャル・ビジネスの境界領域です。単純に言えば前期はマイノリティ・スタディーズを勉強し、夏休みに全員参加でフィールド調査を合宿形式で行い、後期はそれらを踏まえた小規模かつ期間限定の非営利セクターによるソーシャル・ビジネスのプロジェクトを実施するという流れです。

■後期の授業期間終了後、阿部珠理先生が研究休暇から戻られる4月1日までは、私が阿部珠理先生と緊密に連絡を取りながら、受講者の卒業論文執筆の指導に当たります。また2012年度に入っても、卒業論文に関する相談は常に受け付けます。

■卒業論文の計画策定に関しては9月から指導を開始し、9月、10月、11月の月末に進捗状況報告書(A4で2枚程度が目安)を提出していただきます。報告書の内容を確認した上で、私から個々の学生に各種の指示を与えます。

■噂はご存じかと思いますが、私の演習はかなり「厳しい」ものです。文献や資料も相当量に目を通してもらいますし、時間厳守、締め切り厳守、指示内容厳守など、一人前の日本の大人として当たり前のマナーが守れない人は単位を取得出来ません。

■The primary language of the class is Japanese but the students can use English as secondary official language. Students can write the papers and do personal communication with teacher in English.

(以下、選考方法の説明です)

フィールド演習の受講を希望される方々へ
 こんにちは。私が来年度担当する予定のフィールド演習に興味を持っていただき、ありがとうございます。私としては、受講を希望される方には出来るだけ個別にお会いして、じっくりと話し、お互いの考えていることを充分に理解した上で演習を始めたいと考えています。ですが、私は普段は家で3歳の息子の世話をしていますので、時間的な問題がネックになり、なかなかそういうことも出来ません。そこで、替わりにちょっとした質問に答えていただこうと考えました。
 これは、出来の良し悪しで皆さんを評価する為のものではありません。皆さんがどんな人間なのかを私が知る為に書いていただくものです。登録された中のどなたかの履修を、やむを得ずお断りしなければいけなくなった場合にも、文章の巧拙や中身の面白さではなく、どれだけレポートを通して皆さんの人間像が伝わってきたかで判断させていただきます。ですから、まずはリラックスしてください。頑張って良いものを書こうとしたり、就活マニュアル本に書いてあるような小手先のテクニックで自分を少しでも大きく見せようとする必要は一切ありません。
 私が興味を持っているのは、皆さんがどれだけ素直で、どれだけ誠実に、ありのままの現在の自分を見せることが出来る人間なのかという所です。というのも、マイノリティという些か難しい問題に取り組み、マイノリティの方々から信頼を得るには、結局のところそこが一番大事になってくるからです。
 また、もう一つ私が興味を持っているのは、皆さんがどれだけ充実した大学生活を送ってきたか、皆さんがどれだけ生きることを楽しんでいるか、皆さんがどれだけ素敵なものや人に囲まれているかです。
 
 マイノリティの問題に接すると、まず出てくるのが差別や迫害、弾圧、抑圧、文化や言語の収奪といった暗い話題です。中には、そういったお話に接することで自分の中にマイノリティの怒りや憎しみ、侮蔑、嫉妬などの負の感情を取り込んでしまい、マイノリティを抑圧している多数派に対してそれを激しくぶつけるようになってしまう人もいます。
 ですが、皆さんが基礎演習のテキスト『愛国心を考える』で学んだように、そうした負の感情から発した行動は、決して明るい未来には繋がっていきません。少なくとも私はそう考えています。人生を楽しみ、人を愛することを身に付けている人たちにこそ、マイノリティ問題を学び、皆さんが既に知っている人生の素晴らしさの一端を、それを必要としている人たちの所に届ける試みに加わっていただきたいですし、マイノリティの方々が知っておられる人生の素晴らしさを学ばせていただき、それを知らない多くの人々に届ける試みに加わっていただきたいのです。
 私はこれまで4年間、現代文化学科で兼任講師をしてきて、皆さんの潜在能力には素晴らしいものがあるということを実感しています。皆さんの持つ類い希な力を、マイノリティ問題という分野に是非とも貸していただければと思います。よろしくお願いします。
 では、これから私が示す幾つかの質問に、簡潔な文章で答えてください。
(中略:この部分は選考プロセスが始まった後、学科から提示されます)
 質問は以上です。ありがとうございました。
 書式は自由ですが、これまでに大学で習った文書の書き方を参考にして、相手が一番読みやすく、なおかつ自分自身の人間性が最も良く相手に伝わるだろうと皆さんが考える書式にしてください。先輩や友人たちに、あるいは私に相談することも自由です。充分に推敲して、簡潔で読みやすく誤字脱字が無い文章に仕上がったと思ったら(出来れば信頼出来る友人に読んでもらうことをお勧めします)、以下のメールアドレスに送ってください。
(略)
※適切なメールの題名および本文を忘れないようにしてください。
 それでは、来年4月に皆さんにお会い出来ることを楽しみにしています。

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