10年くらい前だったと思いますが、私とある研究者とがネット上の掲示板で論争をしたことがあります。その時に、私の論争相手と一緒になって私を嘲笑していた方がおりました。その論争は「これ以上やっても不毛だ」と感じた私が黙る形で終わったのですが、論争が終わった後もその人物は、当時私が開設していたウェブサイトの掲示板に嫌がらせをしに来ていたのを憶えています。「加藤さんは日教組と同じなんですね」とか書かれたかな。
その後、彼はポピュラー文化系のフリーライターになり、「はてなダイアリー」のいわゆる「ブログ論壇」界隈にも出入りしていたようでした。私はといえば航海カヌー文化との衝撃的な出会いがあって、それまでの研究テーマだったポピュラー音楽は正直どうでもよくなり、結果として彼の活躍していた分野にも全然関心が無くなっていったので、その後は全く交わることがありませんでした。
それが昨日、ふと「そういえばあの男は何をしているんだろう」と思って調べてみたら、何と1年ほど前に病死していたのでした。私と同じ年に生まれているので、37歳で死んだということになります。ちょっと驚きましたが、もともとあまり体が丈夫ではなかった上に、浴びるように酒を飲んで不規則な生活を続けていたようでした。本来の論争相手だった人物(彼も私と同い年)はたまに学会でみかけますが、あごの回りやお腹のまわりに相当量の脂肪をお貯めになっておられて、すっかり貫禄がついていらっしゃいます。
私は今日、息子と一緒に公園のゴミ拾いをしながら考えました。もしかしたら自分もああなっていたかもしれないと。ネットの毒を体いっぱいに貯めて、ネット毒無しでは生きられなくなって、ストレスを貯めて、不健康な生活を送って、体を壊して、場合によっては早死にしてしまうような人生。私がそうならなかった理由は明らかで、エディ・アイカウという人物を知った時に、もうああいう連中とは絶対に交わらない世界に行こうと決意したからです。それは正しい選択だったと思っています。
ただ、今でも多少はネットで毒を吸い込んでしまう(私が吸い込んでしまうのはネット毒ではなく左翼毒ですが、どちらにしろ体に悪いことに変わりはありません)。でも大丈夫。毎週末、ロードレーサーやシクロクロスバイクにまたがって4時間、5時間、6時間と走っている間に、平日吸い込んでしまった毒素は綺麗に浄化されますからね。逆に言えば、それがあるからこそ心身の健康を保って生きていられるわけです。
実は研究者の世界というのは、週末になると学会とか例会とか研究会とかシンポジウムとかで、その気になれば全ての休日を自分の分野に関係があるイベントで埋め尽くすことも出来ます。東京とか大阪に住んでいれば。そして、そういうところにこまめに顔を出して人脈をつくらないと上がっていけない世界でもあります。でも、私は休日は断固、走りに行くか家族と過ごすかで、そういう場所には一切顔を出しません。一番大事なのは健康と家族だと知っているからです。それ以外のものはだいたいどうとでもなるもんです。
明日も走ります。ちゃんと生きるために。死ぬまで生き延びるために。