シラカシの森

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 今日は川崎市にある東高根森林公園に行ってきました。目当ては天然記念物にもなっているシラカシの森です。

 シラカシというのは常緑の広葉樹、つまり秋になったら丸裸になる木ではなくて、一年中緑の葉っぱがついているタイプの木であり、しかも松やら杉やらのような針葉樹でもないぞということ。本来、多摩丘陵の森はこのシラカシを中心とした植生なのですが、近世以降はシラカシは伐採されてしまって薪炭林・農用林としてクヌギやコナラなどの落葉樹か(炭にするならこれらの樹種がベストなので)、あるいは建材目的でのアカマツが植えられてきましたから、今やこうしたまとまった規模でのシラカシの森というのは極めて珍しいのです。

 さて、いざ現地に着いてみると、肝心のシラカシの森の内部には入ることは出来ず、あくまでも森の縁からしか観察出来なかったんですが、鬱蒼とした常緑の木が林冠部を形成している一方で、林の中は案外見通しが利き、林床にはあの緑の悪魔、アズマネザサの侵入も見られませんでした。アズマネザサのカーニバルはやはり落葉樹の放置林に独特の悪夢だということがわかります。

 森から受ける印象ですが、私は決して嫌いではないですね。クヌギなど落葉樹が中心の里山は、この時期はまだ芽が観察出来る程度で、遠くから見ればただの枯れ木の林になっています。それは同時にアズマネザサがフィーバーしちゃう条件でもあり、きちんと奴らを退治しないと腐れ藪になってしまう。逆に、きちんと下草刈りをしてあれば、落葉樹の林はとても快適な空間なんですが、それにはアホみたいにコストがかかる。

 それでは、人間の手が入らないまま安定するシラカシの森(極相林)はどうだったか? これはこれで良いじゃないか。そう感じました。縄文時代や弥生時代の日本列島の山林はまさにこんな状態だったと思えば、むしろロマンも感じます。もっと言えば、稲城にもシラカシの森が欲しいとさえ思いましたね。