特別許可の嵐

 今になってもホクレア入港の第一報が流れないということは、少なくともホクレアのクルーの上陸は明日になるということでしょうね。なんせ入国管理官が居ないでしょう。以前、内田正洋さんがシーカヤックで台湾から日本に帰ってきた時に、入国管理官が居ないので一晩、海の上でシーカヤックに揺られて待っていたとかいう話を聞いたことがあります。入国管理官を責めてはいけませんよ。誰だって退勤時刻になったら家に帰る権利がある。よほどホクレアに思い入れがある方でなければ、帰ってしまって当然。

 そんなわけで、おそらく今頃のホクレアは糸満港の近所で旗を沢山揚げて漂っていることでしょう。まずはアメリカ合衆国旗。そして日章旗。ハワイ州旗。Q旗(真っ黄色の旗で、検疫が済んでいない船が掲げる)。ホクレアに日章旗がはためいている。糸満の皆さんはそんな光景を明日、見られてしまうのですよ。羨ましい・・・・。

 ところでホクレアが入国するのは税関のある那覇港ではなく単なる漁港に過ぎない糸満。となるとどうやって入国手続きをするのか。国土交通省に「日本船舶以外の船舶による不開港場への寄港(不開港場寄港)又は日本各港間における旅客又は物品の運送(沿岸輸送)に係る特許申請」というものを提出して特別許可を得なければダメなんですね。そういう書類を1週間以上前に出して許可が下りて無ければ、沖縄なら那覇港に来てくださいとなる。勝手に糸満に入ったら逮捕されて強制送還です。

 しかも興味深いことに、外国船は一旦通関したとしても、不開港場に入るのであればその都度、この書類を出さなければいかんのですねえ。ざっと見てみた所、宇土も福岡も周防大島もこれに該当する感じです。それぞれ熊本や博多や平生から入国管理官を呼ぶことになるんでしょうね。まあ、異常に海岸線が長いが故の政策なのかもしれませんね。ある程度外国船の入れる港を限定しておかないと、行政が対応しきれないのかもしれない。