良い本を一冊紹介しておきます。
『唐桑・海と森の大工』(INAX出版)
これは2004年から2005年にかけてINAXが行った展示会「唐桑・海と森の大工」の図録なんですが、展示会を見ていなくても十二分に堪能出来ます。
唐桑・海と森の大工展
宮城県最北端に位置する唐桑半島における、海と森の豊かな恵みが育んだ造船・建築の技を通して、風土に根ざした生き方と技術を紹介するINAXギャラリー企画展
宮城県の唐桑半島は日本有数の漁場を抱える場所として知られていますが、この海域で行われる漁法や沿岸の地形の特殊性もあって、21世紀の現在でもなお、木造の小型漁船がFRP船と互角の商品性を持っているのだそうです。だから現在でも木造船の新造が当たり前のようにある。
そこで、岩淵さんという船大工の棟梁の経歴や仕事の内容を中心にして、この地域の木造船文化をまずは概観する。そして、唐桑地域の陸の大工さんたちが、船大工の技術を家屋建築に取り入れた「唐桑御殿」の紹介。最後は鉄鋼船の船体づくりをしていた会社が、その技術力を生かして一点製作ものの特殊な鉄板(主に建築家デザインの建築作品に使われる)作りに進出した話。
写真も美しいですし、内容を考えると値段もお手頃。これは読む価値ありますよ。