美の巨人たちを3年ぶりに見た

そういえば昨日は久しぶりに(新)「美の巨人たち」を見ました。新になってからは全く見なくなってたんですけどね。新じゃないやつは20年間ほとんど欠かさず見てたんじゃないかな。妻と、あるいは妻と息子と3人で。

昨日は「モデュロール兄弟はどうなった」とか「絵画警察は」「桜子さんは」と、新じゃない時代のキャラの話で盛り上がりつつ長沢芦雪のお話を拝見。新じゃない時代は演出も脚本もぶっ飛んでる回が多くて面白かったんですが、新になって芸能人の旅番組みたいになって、これだったら別に……と。

昨日は比較的、昔の美の巨人たちっぽい作りだったかなと思います。作家の人生と制作コンセプトの変遷を重ね合わせて読み解く、ロマン派的な演出は昔からのこの番組の持ち味。もっと言えば日本の大衆的なアート読解の伝統でもありますね。ギャラリーフェイク然り。

(ダメとは言っていない)

ただこの読解は一面的といえば一面的なので、最初に作家や作品を認知してもらうには良いスタイルなんですけど、私生活が波乱万丈な作家の方がやりやすいとか、私生活ネタに作品が引っ張られすぎるとか、何度も同じネタをやることになるのでマンネリ化するとか、限界もあると思ってます カラヴァッジオみたいな人の話は最初は面白く作れるけど、何度もやると「またそのネタかよ」になる。あと、同時代の若手や中堅作家が取り上げにくい。

美の巨人たちがという話ではないですが、ロマン派的な読解は作品と作家の人間性を分けて考えられない大衆を育てたという側面もあるでしょう

個人的にはEテレの「ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪」が今一番尖っていて面白いですね。これ系の番組だと。あれは美術館ではなく博物館の番組ですが。

民放テレビだと大先生になった定番作家・作品しか扱えないのがつらいところでしょうね。

現代アートでも世界に目を向ければ若手でも面白い経歴で尖った作品を作っている人は枚挙にいとまがないですが、いま日本のテレビは定番・鉄板企画しか許されないような業界とも聞きますので、ビジネスデベロップメントは期待薄かな。