『星の航海術をもとめて』あらすじ2

※ネタバレを厭う方はご注意下さい。

12:Singapore Swing(シンガポール・スウィング)
ナイノアがタヒチに向かい、ホクレアが乾ドック入りしている間に、著者とマウはシンガポールを訪れていた。英国で製作されているドキュメンタリーに出演する為である。マウはシンガポールでも、空を観察し続けることを止めなかった。

13:Strategy(戦略)
ナイノアは、マウから伝授されたミクロネシアの「星の羅針盤」と、それ以前にプラネタリウムで学習していた近代天文学を組み合わせ、彼独自の「星の羅針盤」を完成させつつあった。この章では、ナイノアが1980年に使用した「星の羅針盤」が解説される。また、ナイノアは、赤道無風帯で遭遇する北赤道海流、赤道反流(赤道海流の脇を反対方向に流れる弱い海流)、南赤道海流によって船が西へ流されるのを見越して、タヒチのある経度よりも東よりのコースを進む計画を立てた。こうしてタヒチに近づくと、最後は海上で観察される鳥の種類が、島への距離の目安となるのである。

14:In Peril on the Sea(試練)
(クライマックスなので伏せておきます)

15:Waiting for the Wind(風待ち)
ヒロの湾内に浮かぶココナッツ島で、出航の儀式が行われた。アワが回しのみされ、クルーは一つの家族となった。ホクレアは風待ちに入った。およそ一週間、ナイノアは空を観察しながら、出航に適した日を待ち、3月14日金曜日、いよいよ翌日の出航が決定された。

16:Stormy Weather(荒天)
土曜日、クルーはホクレアのデッキの上で祈りを捧げると、お互いの手を繋ぎ輪になって「ハワイ、アロハ」を歌い、タヒチに向かって港を後にした。ホクレアはクムカヒ岬までイシュカに曳航され、そこから先はタヒチに着くまで一切イシュカからのサポートは受けない独力の航海である。2日目、ホクレアはまたしても嵐に遭遇し、船は西へと流された。しかしナイノアは適切なタッキング 指示によってホクレアを再び東に戻し、予定のコースに復帰させた。ナイノアは星が見えない状態でも的確に船の位置を把握し続けた。

17:Halcyon Days(平穏)
(伏せておきます)

18:In and Out of the Doldrums(赤道無風帯を越えて)
骨から削りだした釣り針で何故かブルージーンズが釣れた朝、船は赤道無風帯に差し掛かった。船足はてきめんに落ち、クルーは暇を持て余すようになった。ナイノアまでも、ふざけて妙なことを言いだした。「ウィル、僕はもう飽きたんで家に帰ります。ここからはブルースが航法師です。それじゃ、後はよろしく。」

19:Speeding over the Equator(南半球へ)
(伏せておきます)

20:Slowing down South(停滞)
(伏せておきます)

21:The Bounding Main(入港)
29日目。船は凪を抜け、いよいよフレンチ・ポリネシアに近づいていた。鳥たちがそれをはっきりと教えていた。30日目の夕方、一人のクルーが、ホクレアと同じ方向に鳥たちが飛び去っていくことに気付いた。鳥たちもまた陸地を目指しているのである。ナイノアは、もはや航海の最終段階に入ったことを宣言した。後は、陸地が見えるのを待つだけだった。31日目の朝、マストに昇っていたナイノアが陸地を視認した。マタイヴァである。かつてナイノアとエディ・アイカウが語り合った夢が実現した瞬間だった。33日目の朝、ホクレアはパペエテの港に再び錨を降ろした。

22:The Wayfinder(手記)
この章は、ナイノアによる手記となっている。読者は、航法を行っている間、ナイノアが何をどう利用し、何を考えているかを、この章で知ることが出来る。この手記で取り上げられるのは、タヒチからハワイに戻る航海である。具体的には、タヒチを出航した5月13日、ハワイに近づきつつある6月1-3日、ついにマウナケア山を視認した6月4日のナイノアの内面が語られている。

23:Perspective(概観))
この章は、著者による航海の概観となっている。1976年の航海と1980年の航海で辿ったルートが比較検討されるとともに、航法術の会得とはナイノアにとっていかなる経験だったのかが、ナイノアの回想を引用しつつ分析される。最も読者の興味を引くのは、次のようなシーンである。赤道無風帯で悪天候に遭遇した時、ナイノアは当初、船の進むべき方向を見いだす為に全ての意識を集中していた。しかし、ナイノアには答えが見いだせなかった。悪戦苦闘の末、疲労困憊したナイノアは、航法を続ける気力を使い果たしてしまう。ところがその瞬間、不思議なことに、ナイノアは自分が今どこにいて、どちらに進むべきか直観的に知ったのである。

24:The Blessing(祝福)
本書のエピローグとなるのは、タヒチでマウがナイノアにかけた、次のような言葉である。マウはタヒチでのパーティのさなか、ナイノアに次のように語りかける。「もはやお前は、知っておくべきことを全て知っている。」そしてマウは続けた。「ただし、それが何なのかを理解するには、あと20年かかるだろう。」