オリバーレス伯爵(先代)の武勇伝

 2巻では美味しいところを持っていったオリバーレス伯爵。3巻ではお休みですが、彼は結構面白いエピソードを抱えた人物なんですね。

 もともとオリバーレス伯爵家というのはですね、当時のスペインでも最も強大な貴族の家であったメディナ・シドニア公爵家から分家した家でした。初代がメディナ・シドニア公爵家の三男坊だったのかな。

 我らが変なルックス(映画を見る限り)のオリバーレス伯爵は三代目です。グランデ(国王の前での脱帽と起立を免除される特権)をゲットしたのは彼の代だから、まあ新興貴族っすね。

 でも今日は二代目の話ね。二代目のオリバーレス伯爵はローマに派遣されたスペインの大使でした。三代目のガスパール君も生まれはローマ。で、この二代目が凄い武闘派だったらしいです。

 なんでも、二代目はローマ駐在時に、使用人を館に集めるのに館の鐘を鳴らしていたんだそうですよ。ところが当時のローマで鐘を鳴らす権利があるのは枢機卿(教皇のすぐ下の高位聖職者)以上。一方、スペイン大使は大司教(枢機卿の下)扱いだったので、当然ながらクレームが殺到したわけです。

 それで教皇庁に呼び出されて教皇に「鐘を鳴らすのを止めろ」と言われた二代目、逆ギレです。教皇庁の収入の2/3はスペイン領内から入っているそのスペイン国王の代理人さまに、たかが教皇ごときが生意気な口聞いてるんじゃねえぞオラ。

 本当にそうやって啖呵を切った。

 しかしここで引き下がっては教皇もメンツが立たない。押し問答の末、二代目は「わかったよ鐘は勘弁してやらあ」と言い捨てて館に帰りました。

 それで二代目がどうしたか。鐘を鳴らす代わりに大砲を持ち出して空砲をぶっ放した! これまでは鐘だったのが、今度は大砲ですよ。ええ。スペイン人、アホです。もう最高。

 結局折れたのは教皇でした。鐘は鳴らしても良いから大砲は止めてくれとワビを入れた。まあなんですな、偉い人も喧嘩をするときは子供に戻る。そういうことでしょうか。え、そんなの新聞読んでればわかるって? こりゃあ一本取られましたな。

 それではお後がよろしいようで。。。。