「パシフィック・リム:暗黒の大陸」を見ていて、日本のアニメはいずれこちらに寄っていくんだろうなと思った

「パシフィック・リム:暗黒の大陸」(アニメ)は英語タイトルは”Pacific Rim: The Black”なんだけど、英語のツイッターの反応を見ていると、日本語ツイッターより遥かに肯定的であるように感じられる。

 

これが統計的にも正しいなら、ネトフリはこの路線のアニメを増やすのではないか。
 
その未来は単純に言えば「日本国内の市場に適応して進化してきた日本的なSFアニメが、国内市場の縮小と外資大手の全世界配信というビジネスモデルによって、グローバルに適応したコンテンツへと作り変えられていく」というものだ。
 
市場の大きさを考えると、この未来に抗いようはない。私はおっぱいや若い女性の着替え/入浴シーンが定期的に挿入されるアニメも、ビジネスとして成立する限りどんどん作って公開したら良いと考える派だが、どんな商品にも市場がこれ以上大きくならない限界というものは存在する。日本市場は(私は大変に良いことだと思うが)セクシャルなアニメ表現に対する圧力は緩いし、(あまり良いことだとは思わないが)多様なエスニックグループや障害者の登場人物を出そうという意識はさほど強くない。

なんだかんだでアメリカ産のコンテンツがセクシャルなシーンを排除し、アメリカ国内のエスニックグループの多様性を反映した作りになってきているのとは、かなり違う。

だが、世界で売りやすい/売れているのは、アメリカ流の作りのものだ。
 
となると、中国やアメリカの配信大手が日本の製作委員会方式の3倍の単価で日本のアニメスタジオに「格好いいロボットアニメ、おっぱいと着替えとシンジくん抜きで」という発注をかけてきたとき、アニメスタジオは常識で考えれば米中の外資の発注を優先して受注するだろう。
 
それによって経営は安定し、クリエイターの所得は向上する。日本市場で縮小するパイを奪い合うより遥かに明るい未来だ。

逆に、「パシフィック・リム:暗黒の大陸」を日本で全面的にウケるものにするためには、まず「主役機のパイロットが血の繋がった兄と妹」という設定を止めるべきだし、もっと若い女性のキャラを沢山(現状の4倍くらい)出すべきだし、みんなおっぱいをもっと大きく描いて揺らすべきだし、毎回1度は無意味なサービスシーンを入れるべきだろう。

あとは2話ごとに怪獣を1匹倒すこと、ある程度活躍してから6話くらいで戦死する仲間を出すこと、主役機パイロットカップルは普段は喧嘩が絶えないこと、主役機の女性パイロットは過去に心の傷を負っていてそれが原因でたまに主役機が動かなくなること。

美形のライバルパイロットを5話くらいから出して6話の仲間の戦死のきっかけにしといて12話くらいまでライバル対立エピソードで話を作る。

そして失踪するのは両親ではなくて父親だけにすべきだし、ラスボスかラスボス手前で倒される敵を主人公(どっちか)の父親にするべきだし、3話に1度はおっぱいの大きい女性キャラが複数で入浴するシーンを出すべきだし、主人公機はポンコツ旧型機ではなくて秘密を秘めた最強機にしとくべき。

と書き出してみると、どんどん「どこかで見たような日本の後期思春期ロボットアニメ」になってくる。

もちろんそういうものが悪いわけではないが、「パシフィック・リム」はそもそもカリフォルニアにある会社が作った作品で、現在は中国の会社が親会社である。

最後に一番大事なことを。

今まで当たり前に新作が作られてきたような「おっぱい強調・着替え入浴シーン定期投下」アニメをこれからも見続けたければ、貯金などに回さずに使える金は全部それ関連で消費して買い支えていく必要があるだろう。私はそれらを応援したい。作る人も買う人も。

(参考までに、エヴァンゲリオンの新劇場版の序破Q3作品が日本国外で稼いだ興行収入は合わせて3億円に満たず、同シリーズの興行収入の2%未満である。)