Thousands are sailing across the western ocean

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 最近、オクスフォード大、ケンブリッジ大、レスター大のチームがマダガスカル島で行ったDNA調査というのの結果が論文になったそうです。

 あ、マダガスカル島ってのはアフリカの東側にあるあのちょっと大きな島のことですよ。あの島の言葉がオーストロネシア系、つまりは台湾先住民だとかフィリピンだとかそのあたりの言葉と同系列だというのは、昔から有名でした。だから、ポリネシアやミクロネシアに渡っていった人たちとは逆に、西へ向かってマダガスカル島まで行った人たちが居たんだろうということは言われていた。

 今回わかったのは、その移民のもう少し詳しいディテールです。

Conservation news
Mongabay seeks to raise interest in and appreciation of wild lands and wildlife, while examining the impact of emerging ...

 まず、移民の出発地点となったのは、DNAパターンから察するに、インドネシアのボルネオ島。漂海民文化の地というか海ですわね。おさらいしておくと、漂海民文化というのはフィリピンのミンダナオ島とインドネシアのボルネオ島の間のスールー海とかマカッサル海峡というあたりが核心海域です。

 そこから、おそらくは一気にマダガスカル島まで渡った。というのも、ボルネオ島とマダガスカル島の間には、ボルネオ島系の民族が見あたらないから。

 これが2000年から1500年前の間です。しかもかなり大規模な移民船団を組んでいった。そして、この航海は東へ向かうポリネシア行きダブルカヌー便よりも相当に楽だったらしい。というのは、マダガスカル島の先住民のDNAを見ると、アフリカ大陸から直接渡ってきた集団とボルネオ島から来た集団の割合がだいたい半々なんだそうですよ。つまり、大量の人間が続々と渡ってきていたということ。航海中に命を落とす可能性は、ポリネシア便より遙かに低かったんじゃないかと書いてありますね。

 ボルネオ島からマダガスカル島まで、およそ7000km以上。航海術ということを考えると、ポリネシア便とは違って目標がデカいですから、目標を通り過ぎて海の藻屑になるってこたあ無いでしょうし(絶対にアフリカ大陸には行けるから)、風も海流もフォローですから、やはりポリネシア便よりは楽かもしれん。

 とはいっても、一声7000kmというウルトラロングフィードは、文句無く凄いですよね。ハワイからタヒチが4000kmで、赤道無風帯とか航法を考えるとハワイ=タヒチ間のが難易度高いかなという気はしますけど、それでも、ねえ。

 それより何より、マダガスカル便もまた漂海民の海から出発していったということ。現在の漂海民バジャウ族が、こうした古代の漂海民や航海民の直接の末裔なのかどうかはわかりませんが、それにしたってもっと尊敬を受けて然るべきだと思うんだなあ。