川瀬巴水展@大田区立郷土博物館行って来ました。

凍えながら川瀬巴水展@大田区立郷土博物館行って来ました。

多摩川から行く場合、グーグルマップさんの最短ルートはダメですな。マルコ橋からだと迷いに迷います。素直に中原街道→環七→第2京浜で行った方が早かった。何がいかんと言って、迷って止まって地図確認している間に心拍数が下がって、寒くなるのですよ。ええ。幹線道路を時速30kmでぶっ飛んで心拍意地でも140以下には下げないぞという走り方が今日みたいな日には大事。あー寒かった。

閑話休題です。

川瀬巴水。今日は大変状態のよろしい刷りを沢山見れました《ら抜き表現》。気づいた点を以下に列挙します。

・スケッチと木版画で描かれているモノの構成や遠近感は殆ど変わらない。つまりスケッチの段階で出来上がりをある程度イメージ出来ていたのではないかと推測。
・ただし、木版画になるのはスケッチの画面の4割程度。すなわちスケッチした風景の中で一番「絵になる箇所」をトリミングで切り出して作品に仕上げている。
・明暗差は非常に大きい(ハイコントラスト)
・色の彩度は高め。
・描線が大変シャープ
・透視図法を用いた遠近感の強調を多用する。
・画題は極めて「日本的」なもの。

北斎や広重など江戸期の浮世絵師と較べると、より写真的な絵になってますね。前田真三などの日本の風景写真家の作品を強く想起させる画風です。

彼の(というか彼が属した新版画の)ビジネスにおける輸出の割合は極めて大きかったので、画題にしろ画風にしろ、欧米の顧客の好みに合わせてチューニングされていたのは間違い無いでしょう。

ただ、前田真三の写真に比べると色調は全体に淡く、むしろウィリアム・エグルストンなどニューカラー的な印象があります。というか、ニューカラー系の日本の写真家(ホンマタカシや川内倫子)の色調で前田真三をやっている、というのが一番近いか。

時代的には写真をデッサン代わりに使っていておかしくないですし、構図も極めて写真的なのですが、実際には現場でのスケッチから作品を描き起こしているのも面白かった。しかしながら、スケッチの段階で写真的に遠近感を誇張している可能性も捨てきれませんから、実際に巴水の絵と同じ場所から写真を撮ってみたいですね。

あとはお約束のいちゃもんとして、展覧会図録の編集がダメダメだったのと、ミュージアムショップグッズも萎え萎えなものしか無かったのが、いかにも公立という感じで残念でした。儲けちゃいけないからわざとやってるんだろうか?

http://data.ukiyo-e.org/ohmi/images/Kawase_Hasui-Sketches_of_Famous_Places_In_Japan-Night_at_the_Pond_Edge-_Shinobazu_Pond-009781-02-09-2009-9781-x2000.jpg