写真展ハシゴ

 今日は世田谷通り→246で渋谷へ。

 立教大学写真部の写真展を眺めるのが目的です。ゼミ生も4人が参加。入り口すぐ左にでっかいのを3枚も飾っていたMは、学祭の写真展に続きピントが甘いものを、今度は半切です。コンセプト以前にピントを合わせることを憶えろM!

 そのMのすぐ近くにあったのは、Yさんの作品。春からEOS KISS X3にキットズーム(18-55IS)で頑張っていたのですが、学祭で出した写真がちょっと大きな空振りに終わって落ち込んでしまい、「女の子撮るなら取り敢えず大口径単焦点買ったら? 50mm/F1.8なんか8000円で新品買えるし」との勧めにしたがってレンズを買い増しして挑んだ一枚。コンセプト的にはちょっと消化しきれていないものもありましたが、前回より説得力はぐぐっとアップでした。

 フランスから来たライカ男の作品は、四国のお遍路さんがテーマ。内藤正敏風でしたかね。どうも奴の作品は撮ってる奴ほど変じゃないのが不満です。もっといつものバカさを全開にしていきゃ良いのに(さっきフェイスブックで「いつものラーメンとかカツカレー写真のがよほどバカで面白いぞ。あっち出せば良かったのに」と言ってやったら「俺もそう思う」だそうです)。

 Sさんの作品も、インパクト足らない感じだったなあ。全体的に、30年前のストレートフォトの世界で進化が止まっていて、まるで伝統工芸の若手作家展みたいでした。2階でやっていた早稲田大学写真部と慶応義塾大学カメラクラブの合同展の方が、まだ面白い写真や新しい写真が多かったですよ。

 その後、広尾のギャラリーで開催されていた広尾アートフォト・マーケットにも脚を伸ばしたのですが、こちらはやはり学生の写真部展とはレベルが違いましたね。いや、澤田知子とか山口典子とかのグロ系もあって思わず目を背けてしまいましたし、正直下らない作品だなと思うものも1/3くらいあったんですが(ワインの写真をアクリル板に貼り付けて5万とかアホかと)、そういうものも含めて、ともかく現物の仕上げにお金がかかっているのと、攻め込んだ写真を撮っているのと、あとはやはりプロ作家は文脈を作れているんです。

 学生展に決定的に欠けているのは、まずそこだと思いましたよ私は。写真を撮る技術はともかく、自分の作品をどんな文脈に置いて見せるのか、何がやりたかったのかのプレゼンが学生には出来ていないですが、プロ作家にはともかくそこが出来ていた。1wall展の出展者が書いている痛いポエムなんか真似しているヒマがあったら、もっともっとコンセプトづくりと文脈づくりに時間とアタマを使うべきだよな、というのが今日の最大の発見ですね。

 それと、学生展に並んでいる写真が異様に保守的だったのも印象に残りました。誰かプロの真似をするのは良いんです。そっから入っていくのは。それにしても真似する対象がプロヴォークとかコンポラとかの、つまり40年前の日本の写真家か、下手すると第2次大戦前のブラッサイみたいなものも並んでましたからね・・・・。どうせ真似するならライアン・マッギンレーいっとけよ。澤田知子や山口典子が捨て身でギリギリまで攻め込んで作品つくってるんだから、学生はもっと無茶やらかさないともったいなくない?

追記:では広尾にあった作品(5万から10万の間)を買いたいかっていわれれば全然そんなことはなく、同じ5万使うなら自分が撮った写真を高品質に引き延ばして高い額に入れる資金に使います間違いない。だって自分が撮った写真のが1億倍くらい好きだから。澤田知子の写真とか家に飾るなんてどんな拷問だよって感じ。