海人丸の中国航海準備が着々と進んでいるようです。
少し前には中国側の受け入れ体制構築の為に中国に行っておられましたね。目の手術もしなければいけないというのに、ご苦労さまです。そんな荒木さんの姿に、木尾士目さんの漫画『げんしけん』の9巻の荻上さん(アマチュア漫画家)の姿がかぶって見えます。
荻上さんはボーイズラブ系のやおい漫画を書くのが大好きな女子大生なのですが、中学校時代に同級生にハメられて、ボーイズラブ系やおい漫画には深刻なトラウマがあるのです。しかし漫画を描くことは止められない。その後も荻上さんは挫折を繰り返すのですが、その度に復活してくる。そんな荻上さんのことを密かに評価しているオタク友達が、彼女のことをこう評します。
「嫌われ 叩かれ 潰され 消され どんな目に遭わせても必ずまた出てくる。まあたしかに絵はそこそこウマイですがね。それだけやったらここまでうっとーしくはナイですよ。」
何か飛び抜けたものを持つ若者、上の人間の立場を危うくしかねない才能を持つ若者。これはどこの国でも危険視されます。懐柔して手下に出来そうなら引き立てる。ヤバそうなら潰すか無視する。これは基本です。ですが、時に、どれだけ排除しようとしても出てくるのを止めようがない人材も出現する。荒木さんもその類の人間のような気がします。このしぶとさは何なんだ。これは才能ですよ。しぶとさというのも才能の重要な一部。
では荒木さんの才能とは何か。「海を渡る才能」という言葉が一番ぴったりするんじゃないかと思います。荒木さんも自分で言っていますからね。「僕は海を渡ることしか出来ないんで」と。変わった才能ではあります。今の世の中にはあまり必要とされていない才能かもしれません。しかし200年も歴史を遡れば、仲間たちを連れて船で海を渡れる人間というのは、とても貴重な才能の持ち主であったはずなのです。遣唐使船の船長にもそういう才能が求められたでしょうし、アオテアロアを発見した航海者クペやラパ・ヌイを発見した大酋長ホトゥ・マトゥアも「海を渡る才能」に溢れた人物だったはずです。言ってみれば荒木さんはある種の先祖返りをした、現代では非常に珍しい人材なのかもしれませんね。