四枚目の旗

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 我らがホクレア号をはじめとする現代ポリネシアの航海カヌー。ややもするとサーファーとパドラーとライフセーバーが主役、みたいなイメージがあり、それは実際そうだと思うのですが、その運航の土台には欧米系の航海技術・知識その他も結構流れ込んでいるようです。ナイノア流航法術が西洋天文学の知識を土台にしているのは有名ですが、それだけではなく、例えばホクレアには「船長captain」「一等航海士first mate」「航海長navigator」というような役職があって、これらの高級船員は立場的に一般のクルーとは明確に区別されている。出航の儀式でも扱いが別になる。船医も乗っていますし、右舷はstarboardで左舷はportside。操船用語も「heave to」とか「starboard tuck」とか、完全に欧米の帆船と同じ言葉で、船内の主な部材にはハワイ語の名前が付いていますけれども、細かい用具類は全部ヨットの用語と用具を流用していますわね。

 何が言いたいかというと、現代ポリネシアの航海カヌーは大型ヨットの一種でもある、ということであります。ヨットが守っているようなマナーや法規はちゃんと守って運航されている船。だから、今はハワイ関係サーフィン関係(そして何故かシーカヤック関係)を中心に広報展開中のホクレアではありますが、ヨット乗り方面にアピールしてみるのも案外面白いかもしれないですね。現代ポリネシアの航海カヌー、サバニやシーカヤックと同程度にはヨットとも縁があるような気がしますよ私は。

 さてそんな大型ヨットとしてのホクレア号。landfall(陸地視認)の次にまずすることはというと、旗を掲げる作業です。まず自船の所属を表すアメリカ合衆国旗、ハワイアンの誇りを示す為にハワイ州旗、次いで訪問先の国旗というのがスタンダード。ですからホクレア号が日本の陸地を視認したら、三番目には我らが日章旗が掲げられることになります(誰か洋上で写真撮って来てね)。

 ところで、ホクレアがタヒチやマルケサスあたりをうろつく時は、三番目に掲げられるフランス国旗にプラスしてもう一枚、航海カヌーマニアの心をくすぐるデザインの旗が掲げられるようです。それがこの旗。中央に見えるのはクラブクロウ・セイルを高々と揚げたダブル・カヌーではないですか。これこそがフランス領ポリネシアの旗なんです。一枚欲しい・・・・。