アヌタの口承伝統

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 また仕事の追い込みでひいひい言っているのですが、海の向こうから資料が届いておりますので中身をじっくり確認しないまま紹介。夏休みにまとめて読もう。

Richard Feinberg, Oral Traditions of Anuta: A Polynesian Outlier in the Solomon Islands, Oxford University Press, 1988.

 著者のファインバーグ博士はご存じ、航海術研究の泰斗の一人。彼はもともとソロモン諸島の域外ポリネシア、アヌタ島で色々な調査をしていたのですが、次第次第に航海術に惹かれていって、という経歴の持ち主です。アヌタの航海術だけで一冊、研究書を書いてもいるのですが、それはまた改めて紹介しましょう。

 さてこの本は、アヌタの人々から様々なテーマでの聞き取り調査を行い、その内容をまとめたものです。ページの左半分はアヌタ語(もろポリネシア語系)、右半分はその英訳という形になっていますね。それでもちろん、航海術というか、航海カヌーによる航海の話は沢山出てきます。ティコピアとかタウマコとか、この辺りには域外ポリネシアが点々と散らばっているのですが、「それでこいつは航海カヌーでタウマコまで行って……」とか「ティコピアから航海カヌーでアヌタに来た誰それが……」とか、そういう昔話がいくらでもある。普通にある。

 だって、彼らにとっては、航海カヌーで別の島に渡るなんてのは普通、日常、当たり前の話だったですものね。長距離トラックの運ちゃんが普通に「先週、青森から名古屋まで走った時は」とか言うのと同じです。

 時間が少し出来たら、面白い昔話をピックアップしてまた紹介します。