タウマコの「ウィンド・コンパス」最新版

 タウマコ島の「ウィンド・コンパス」システム調査の最新の結果がヴァカ・タウマコ・プロジェクトのウェブサイトで公開されました。

http://www.aloha.net/~vaka/NohoangaTeMatangi.html

 タウマコ島のウィンド・コンパスでは、どうやら風の方位を16に分割するみたいですね(スター・コンパスではもっと細かく分けるのかもしれません。触覚と視覚では分解能が違いますから)。以前はpart3まで公開されていましたが、今回はpart7まで出ています。

 part4は風の方位と日出・日没位置の対応関係を示した図のようです。

 part5は貿易風とサイクロンの吹く方位の概念図ですね。貿易風は夏至から秋分の日まで吹く。おそらく、夏至の日に吹く貿易風の方位が風の16方位のうち「テ・トケラウ・トゥ」で、秋分の日の貿易風が「テ・ウル」。逆にサイクロンは冬至(テ・ラキ)と春分の日(テ・パラプ)の間。

 ちなみにヴァカ・タウマコ・プロジェクトのミミ博士は「タヒチ語かハワイ語が話せればタウマコ語はわかる」とおっしゃっておられるのですが、調べてみたら「トケラウ」は同じポリネシア語の仲間であるフィジー語で「東」という意味でした。でも「ウル」や「トゥ」はわからん。

 part6は特に強い風が吹く方位ですね。タウマコに吹く最も強い風は「テ・アルンガ」と「テ・トンガ」の間から。秋分の日の前後3日間は「テ・ウル」から強い風が吹き、それから冬至までは、さほど強くない良好な風が吹いてくる。

 12月に入ると、「テ・パラウ」から特に強い風が吹き始め、風の方位は徐々に「テ・ハカヒウ」に向かって移動していく。同時に風はゆっくりと弱まっていく。そして春分の日の前後にまた強い風が吹き、それから夏至までは、やはりさほど強くない良好な風が吹く。

 part7は10の天体の動きをウィンド・コンパス上に投影したものですね。天体名がタウマコ語だけで書かれているので、どれがどの星なのか、これだけではわからないです。今度メールで聞いてみよう。

 こうやって見ると、タウマコのウィンド・コンパス・システムはかなり複雑ですね。それにハワイみたいに年がら年中同じ方向から風が吹いている海域とは違う、年間でほとんど360度に渡って風の方位が変化するという海域のようです。もっともカロリン諸島のストーム・スター概念のように、厳密には自然科学上の現象に転写出来ない、いわば認知システム上の概念なのかもしれませんが。

 それにしてもですよ。このウィンド・コンパス・システムは非常に面白い。積極的に応援したくなります。早くヴァカ・タウマコ・プロジェクトもペイパルで募金を受け付ければ良いのに。