民博の誘惑(その1)

 それでは、航海カヌーマニアを萌え殺す禁断の秘苑、国立民族学博物館のレポートを、何回かにわけてやっていきます。

 今日はまず、ビデオ・アーカイブについて。

 国立民族学博物館、通称「民博」には、いかにも大阪万博の時代のデザインのビデオブースが沢山ありまして、入館者はこのブースを自由に使って、膨大なビデオ・アーカイブを楽しむことが出来ます。一本あたりおよそ15分の映像資料を、トラッキングボールとボタンの操作で(マウスじゃないのでちょっと使いづらい)呼び出して、26インチくらいの画面で再生させることが出来るわけです。

 航海カヌー萌え向けの映像資料は、まず何といってもサタワル島の映像資料ですね。映画「チェチェメニ号の冒険」用のフィルムから切り出したものと、そうでないものがあるのですが、これらが合わせて5本。「カヌー製作」「食生活」「生活全般」「カヌー」「チェチェメニ号の航海」という分け方だったと思います。カヌー製作編では、チェチェメニ号の建造を追っていますし、カヌー一般編では、ラモトレック島への航海の様子や、カヌーを使った追い込み漁を取材しています。「チェチェメニ号の航海」では、いよいよチェチェメニ号が日本へ向かって旅立つという日の島の様子も紹介されていて、レッパン師をはじめとするクルーの家族が髪の毛をそり落として航海の無事を祈るところや、いよいよチェチェメニ号に乗ろうというクルーの足にしがみついて号泣しているところが収録されていました。

 やはり、サタワル島の人たちにとっても、3000kmという空前の大航海は重いものだったんだということが、ひしひしと伝わってきます。

 まあ、他に日本列島に限っても様々な映像資料があるのですが、私のお奨めは「アイヌ」という項目に分類された中の、1970年代に屈斜路湖で行われた丸木船製作の映像資料や、二風谷の「チプサンケ」(舟下ろしといって、新造されたカヌーの進水の儀式)、シャクシャインの戦いとアイヌのチャシの解説あたりですね。これだけ見て2時間くらいかかったので、他の映像資料を見て来れなかったというだけなのですが。徳丸(板橋区徳丸)の田遊びの映像資料とか、見たかったんだよなあ。

 まあ、そんなわけで、民博に行かれる際には、ビデオ・アーカイブ鑑賞に最低でも1時間半は見て置いてくださいね。

 次のレポートは写真が現像から上がってきてからです。コンパクトデジカメじゃあとても写しきれない大きさと暗さだったんで、一眼レフに交換レンズ3本、ガイドナンバー54のフラッシュまで持参で写真撮りまくって来ました。