太平洋諸島百科事典

 図書館をブラブラと歩いていたら、面白そうな本を見つけました。

太平洋学会編『太平洋諸島百科事典』原書房(1989)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4562020369

 その名の通り、オセアニアに関する百科事典です。出たのが古いので、この16年間に内容が古くなっている箇所も色々あるでしょうが、ざっと斜め読みしていてもなかなか読ませます。

 もちろん私が真っ先にチェックしたのは「ホクレア号」とか「ナイノア・トンプソン」とかね。そうしたら何と「ナイノア・トンプソン」の項は無いんです。「マウ・ピアイルグ」はありましたけど。

 それで、マウ師の項を読んでいたら、何故「ナイノア・トンプソン」の項が無いのかわかってしまいました。マウ師の項を書いたのは中島洋さんという方で、法政大経済学部卒業後はビジネスマンとしてミクロネシアに関わっておられたようですが、この方は1976年以降もずっとマウ師がホクレア号の航海士を務めていたと勘違いしておられたようです。といってもWil Kyselkaの「An Ocean in Mind」が出たのが1987年で、少なくとも1980年のタヒチ往還までの情報はこの本を読めばわかるはずなので、チョンボと言われても仕方ないとは思います。1985-87年のアオテアロア往還を採り上げたBen Finneyの「Voyage of Rediscovery」は1994年出版なので、アオテアロア往還についての事実誤認は致し方ないですが。

 しかしその一方で、ちょっと興味深い記述もありました。マウ師が「マウ(勇敢な)」の通称を得たのは、1976年のタヒチ航海往路の成功によるというものです。項目全体の信頼性に疑問があるので、この記述も鵜呑みにするわけにはいきませんが、参考情報として本体ウェブサイトの人名辞典に追加しておこうと思います。