サンタクラウド

サンタクロースっているのでしょうか?

論理学的に見ると、サンタクロースがいないことの証明は大変に困難です。論理学には排中律という仕組みがあり、ある命題(正しいか正しくないかを判断することが出来ること)は必ず真か偽のどちらかになる、とされています。

サンタクロースがいる、という命題を偽とするためには、サンタクロースがいないことでしか絶対に成り立たない何かを見つけ出して、ほらこれが成り立っているんだからサンタクロースはいないんだ、とするしかありません。

自然科学の領域であれば、これは比較的簡単です。典型的なのは数学ですね。

しかしサンタクロースは数学や化学や物理学上の概念ではありません。人(詳しくは後述)です。

ある人が存在しないという証明を行うには、その人物について可能な限り詳しい情報を集める必要があります。

例えば稲城市にこういう名前とこういう特徴を持つ住民はいない、という証明をするのであれば、住民票を検索してまず名前でフィルタリングして、名前が出なければそれで証明完了。名前が出てきたら、それ以外の特徴を照合していって・・・となります。

しかしサンタクロースはどうでしょう。

本名や生年月日もはっきりしません。そういう人間の非実在を証明するのは非常に難しいです。

最初のサンタクロースは1750年くらい前に今のトルコに居たのではないかと言われていますが、いくらなんでもそいつが今もサンタクロースをやっているわけはないですし、その遺体らしきものも発見されているので、初代が今もサンタクロースをやっているとは考えられません。だいたい何でトルコにいたやつがフィンランドに移民してるんだよ。どう考えても別人だろ。

というわけで、サンタクロースが自然人(法学上の概念で、生身の体を1セットだけ持っている人のこと。これに対して法律上は一人の人間として扱うことになっているけれども生身1セットで構成されているわけではない人は法人と呼びます)であるとすれば、少なくとも長年に渡って複数の人間がサンタクロースであることは、生物学・医学的に疑いのないところです。

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ではサンタクロースは法人なのでしょうか?

法人であるとすれば、世界のどこかの国に登記されているはずです。ですが、これほど有名な人でありながら、その登記が存在する国も、法人名も知られていません。

おかしいとは思いませんか。

サンタクロースの活動に伴って動くお金の額は、100億円や1000億円どころではないはずです。そんな巨大なキャッシュフローを持つ法人が仮にどこかのタックスヘイブンに隠れているとしましょうか。

各国の税務署が黙っていないですよ。

怪しい海外送金先は無いか、全世界の税務署が血眼になって見つけ出して、そこに課税する立法を行うはずです。ダブルアイリッシュ・ダッチサンド(GoogleやAmazonが使った脱税の手口)よりも更に高度な脱税の方法をサンタクロースは編み出したのでしょうか? ブロックチェーン? 暗号通貨?

しかし、サンタクロースの活動期間は先に見たように1750年間です。ブロックチェーンだのタックスヘイブンだのが生まれるより遥か以前から法人組織として活動していたとしたら、かくも見事に世間の目を眩ませているとは考えられません。

どうやら、サンタクロースは法人でもなさそうです。

では、サンタクロースとは何ものなのでしょうか?

わかっていることは

1) 1750年前から活動を開始している
2) 初代は自然人であったらしい
3) 法人ではないらしい
4) 全世界規模での莫大なキャッシュフローを持っている
5) 24時間で全世界の家庭に莫大な荷物を配送する巨大な物流能力を持っている
6) 末端のソルジャーたちは赤い服を着た爺さんの変装で活動している

これはいったい・・・なんなのでしょうか?

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4と5だけ見ればAmazonやDHLやFEDEXのような巨大グローバル企業のようです。

しかし法人ではない。

1と2を見るとただのファンタジーですが、ただのファンタジーならば4のキャッシュフローや5のロジスティクス能力の説明がつかない。サンタクロースと取引するだけでも東証一部上場企業の一つや二つは回るくらいの圧倒的な資金力と物量があって、これらは動かしようのない事実です。

社会学的に考えれば、もうノータイムで

「はい、サンタクロースはいます。」

と結論出来ます。デュルケムの構想した「社会的事実」、すなわちモノとしてさわったりつねったりぷにぷにしたりすることが出来なくても、人間社会の中では明らかに存在していて、自然人の行為行動に影響を与えるものとして、少なくともサンタクロースは「います」。STAP細胞と一緒にすんな。

しかし、自然人でも法人でもないとしたら、サンタクロースとは一体なんなのでしょうか? というか、そもそも人なのか? 

この謎を解く鍵は「クラウドファンディング」と「クラウドソーシング」です。

サンタクロースの生み出す巨大なキャッシュフローの源流は全世界の心ある群衆(クラウド)です。サンタクロースの活動原資はクラウドのお財布や銀行口座です。すなわちクラウドファンディングです。

そしてサンタクロースの巨大な物流能力を生み出しているのも群衆です。もちろん幹線物流は専門の物流事業者群が、クラウドから出てきた資金の一部を支払われて担当していますが、特にラストワンマイルの部分は、やはり全世界の心ある群衆のボランティア活動で運ばれています。すなわちクラウドソーシングです。

ではグーグルやNORADが提供しているサンタトラッカー。あれは何なのか?

あれはね。統計です。統計的に見て今この辺りでサンタクラウドの活動量のピークが発生しているという地点をグーグルやNORADのコンピュータがおおまかに計算して、サンタクラウドの末端構成員の姿を描画して表示しているわけです。

さて、そろそろ稲城のサンタクラウドにもアクティベーションコマンドが来たようです。

行ってきます。

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