こないだ息子との会話(https://www.facebook.com/KATO.Kosei.Akiwo/posts/3669739757645)で話題になった柴田文江女史が日本の家電のスタイリングをバカにしているインタビューです。
私が思ったのは以下のようなことです。
1) 柴田文江はやはりデザインを「見た目をどうするかの問題(スタイリング)」として捉えている(前から思ってました)。
2) デザインを「見た目」でしか捉えていないということは、デザインを感性の領域において把握しているということである。
3) 感性(スキ・キライ、カワイイ・カワイクナイ、カッコイイ・カッコワルイなど)でしかデザインを語れないので、異なるスタイリングを要求する営業サイドを説得出来ない。
すなわち柴田文江女史の課題は2点です。
課題1:デザインを感性だけではなく論理においても考えなければいけない(「何故このような設計・意匠でなければならないのか」を論理的に説明出来なければならない)。
課題2:異なる主張を持つビジネスパートナーを言葉によって納得させる努力を怠ってはならない。
かつてアップル本社の品質管理部門の最高責任者を務めた松井博さんは、『企業が「帝国化」する』の中で、以下のように書いています。
「価値観がまるっきり異なる人々と仕事をしながら何かを創り上げていくというのは、いろいろな意味で忍耐を要求される作業です。自分の常識とはまったく異なる価値観と対立し、お互いに主張し合い、理解し合い、製品に反映させていくという地道な作業の連続です。こうした作業を続けていく上で欠かせないのが自分の視野や考え方の幅を広げ、異なる文化圏のしきたりやモノの考え方を受け入れ、血肉にしていくような柔軟性です。同様に、相手に理解してもらう粘り強さも非常に大切です。
それは「まあいいや。たまにはアイツの言うことも聞いてやろう」といったギブ&テイク的なレベルのやり取りではなく、とことん議論を繰り返し、納得の出来ないことはやり過ごさず何度でも説明してもらうようなしつこさです。」(67ページ)
こうした努力を放棄し、「営業を担っている人たちが、「デザインっぽくない人たちばかり」」などという感性による言葉(だって「デザインっぽい人」なんて言葉、意味不明です)ばかり使っているようでは、これからもうちの息子にバカにされるばかりでしょう。残念ですが。