ICU卒でイギリスの大学で修士号を取得した眞子内親王が公募で東大に採用された。この人事に反発する人が少なからずいる。
その背景には,
「普通は東大は国内私学出身者を公募で差別しているのに今回差別しなかったのは,応募者が皇族だからだろう」
という邪推があると思う。
では,眞子内親王が「ICU出身だから」という理由で評価を下げられて,東大か京大出身の博士課程院生が採用されていたら文句は出なかったのだろうか?
東大や京大出身の研究者見習いにしてみれば,「旧帝大なら頑張って勉強すれば誰でも入れるが,皇族は生まれつきじゃないか」と思うかもしれない。
だが旧帝大を特権階級化しているのだって,能力や実績や伸びしろや組織としての利益など,現実のメリットではない部分で人を選んでいる点では同じ。
ましてこの国には,私大から大学院で旧帝大に進んだ人を「学歴ロンダリング」と嘲笑する風潮さえある。学部から旧帝大でない人を差別する言葉が昔から存在しているのだ。眞子内親王が東大で博士号取得済みだったら公募で採用されても君たち文句言わないのか? どうせ今度は学歴ロンダだとか皇室だからとかブウブウ言うんじゃないか?
アカポス公募なんて元々が,どう転んでも胡散臭くなるものなのだ。密室でやっている限り,どんな結果が出ても,それを不公平と思う人は現れるだろう。だがよく考えろ。一般企業の人事だって,ブラックボックスなのは同じだ。人事は運と巡り合わせが9割と思っておいた方が健康に良い。
眞子内親王は安藤美冬のようなタレント枠人事ではなく,きちんとその分野の勉強をしているし,公募内容と専門性の整合性も取れている。そして採用されたポストは非常勤研究員(さすがに任期無しの常勤研究員だったらどうかと思うが)。もちろん皇室ブランドも一つのプラス要因にはなっただろうが,それだけの理由で「使えない人材」を採用するほどアホばかりではないはずだ。
旧帝大ブランドが効いてハナ差で採用が決まった事例など,この国には5桁くらいはあるだろう。たまたま今回は皇室ブランドが他のブランドを上回った。ただそれだけの話ではないか。
眞子内親王には研究者としてのスキルアップに更に取り組んで欲しい。フルタイム研究者を目指す人たちも,論文を書くなり学会や研究会で営業するなり,前向きに動いて欲しい。